2021年12月1日(水)
精神的・性的暴力も対象
DV法改正へ WG報告素案公表
内閣府
ドメスティックバイオレンス(DV)に関し、政府の「女性に対する暴力に関する専門調査会」の「配偶者暴力防止法見直し検討ワーキング・グループ」は30日、「報告書素案」を公表しました。通報や保護命令の対象となる暴力を精神的暴力や性的暴力に広げることが主題です。
保護命令は被害者の申し立てを受け、裁判所が加害者に発する制度。加害者は被害者への接近や電話による連絡の禁止、住居からの退去などを命じられます。しかし身体的暴力か生命に対する脅迫を受けたケースに限られ、被害者支援団体などは、大声を出すなど精神的暴力や妊娠中の性交や中絶を強要する性的暴力への対象拡大を求めてきました。
素案は、DV防止や被害者保護の観点から、「現行の法制度や運用が極めて不十分であるとの指摘を真摯(しんし)に受け止める必要がある」として、精神的暴力や性的暴力を通報と保護命令の対象とするよう提起。保護命令の禁止行為にSNSでの付きまといや衛星利用測位システム(GPS)による被害者の位置把握などを追加することに「広く賛同が得られた」としました。電話などによる子どもへの連絡の禁止も提起されました。
一方で、緊急保護命令制度や退去命令の期間延長などは議論がまとまっていないとしています。
命令違反への罰則では「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」とするなど加重が提起されています。