2021年11月25日(木)
光州事件 究明続ける
韓国全元大統領死去 市民団体が会見
「謝罪無く去った 許すことできない」
韓国で民主化運動を弾圧した光州事件の責任を問われた全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領が死去したことを受け、5・18光州民主化運動の関連団体は23日、光州市内で記者会見を開き、引き続き事件の真実究明に向けた努力を行うと声明を発表しました。(栗原千鶴)
会見に臨んだのは5・18記念財団と、「遺族会」「負傷者会」「拘束負傷者会」の4団体。声明は、「全斗煥が死んでも5・18の真実は消えない」と述べ、「光州虐殺の主犯たちに対し、必ず責任を問い、大逆罪である全斗煥の犯罪行為を明らかにし、歴史の正義を正す」と述べました。
全氏は、1979年に当時の朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が暗殺されると、クーデターで実権を掌握。戒厳令を発動し、民主活動家だった金大中(キム・デジュン)元大統領ら有力な政治家を逮捕するなど、民主化運動を徹底的に弾圧しました。
80年5月には、金氏の地盤である南西部・光州市で民主化を求めるデモが発生。全氏は軍隊を投入し鎮圧しました。政府が後に認定しただけでも死者が260人超。負傷者も3700人以上に上り、多数の人が行方不明となっています。
全氏は88年の大統領退任後、金泳三(キム・ヨンサム)政権下でクーデターや光州事件などの責任を問われ、一審で死刑判決を言い渡され、二審で無期懲役の減刑となりました。その後、特赦で釈放されましたが、2020年に、回顧録で当時の証言者を「破廉恥なうそつき」などと記述し、名誉毀損(きそん)で有罪判決を受けていました。
現地からの報道によると、23日の4団体の記者会見に臨んだ遺族会の代表は「一言の謝罪もなく去った全斗煥を決して許すことができない」と糾弾。当時、最後までたたかうことを呼びかけた放送をしたという理由で懲役刑になり、再審で無罪となった朴泳順(パク・ヨンスン)さんは、友人をなくしたことでいまも眠れない日が続くと吐露し、「光州の汚れた血でその座を得た大統領が、一言の謝罪もなく死亡したのは、あまりにも恥ずかしいこと」と語りました。