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2021年11月25日(木)

主張

女性への暴力撤廃

支配と差別の構造を変えよう

 きょう25日は、国連の「女性に対する暴力撤廃の国際デー」です。12月10日の世界人権デーまでの16日間、「今すぐ女性に対する暴力を終わらせよう」をテーマに世界各地でキャンペーンが行われます。日本政府も今月12~25日を「女性に対する暴力をなくす運動」実施期間とし、1人で悩んでいる人たちに相談窓口を知らせる呼びかけなどを強めています。

ジェンダー不平等が背景

 女性の多くがDV(配偶者など親密な相手からの暴力)、セクハラ、望まない性行為、痴漢等の暴力被害に遭っています。世界保健機関(WHO)の推計によると、世界の女性の3人に1人が、生涯で1度は親しいパートナーからの身体的または性的暴力、あるいはパートナー以外からの性的暴力を受けることがあるとしています。

 女性に対する暴力は、家庭、職場、学校、地域、路上や交通機関内など、あらゆる場所で起きています。戦争や紛争、災害など危機的な状況のもとでは、いっそう激しい暴力となってあらわれます。

 コロナ禍で、日本のDVの相談件数は2020年度に19万件を超え、前年の1・6倍となりました。性暴力被害や、中高生などからの妊娠相談件数も増えています。暴力にさらされている女性が苦しみを抱え込まず、適切な支援がされるよう、取り組みが急がれます。

 暴力は男性に対するものも、もちろん許されません。それでも、なぜ、特別に国際デーをつくり「女性に対する暴力」の撤廃を目指すのか。それはDVや性暴力の背景にはジェンダー不平等の社会の構造があり、被害に遭う比率が圧倒的に女性に偏っているからです。

 日本は主要国のなかで、国会議員の女性比率が1割に満たず、男女の賃金格差が生涯で1億円に及ぶなど、ジェンダー不平等が深刻な国です。こうしたもとでは、「大事なことの最終決定権は男性、夫にある」「家事や育児は妻が大半を担うのが当たり前」「女性には、外で働いて疲れた男性を癒やす役割がある」といった誤った認識が社会通念として無意識のうちにはびこり、男女の関係性をゆがめてしまいます。これが、女性への暴力や支配の温床となっています。

 女性に対する暴力を、個人間のトラブルとみなして軽視するのではなく、政治が明確にその「撤廃」を目標に掲げ、その原因となっているジェンダー不平等の構造を取り除くために、具体的に取り組んでいかなければなりません。

 男女賃金格差をなくす。選択的夫婦別姓や同性婚を実現し、多様性が尊重される社会をつくる。意思決定の場に女性を増やす。日本共産党が先の総選挙で掲げた政策を一つ一つ進めていくことが必要です。

家父長制の名残をなくし

 刑法に、不同意の性交をされた女性に「抵抗できないほどの暴行や脅迫を受けたのか」と問うような条文があることや、妊娠中絶に胎児の父親の同意が必要であることなど、明治時代の家父長制の名残を法律から一掃することも、焦眉の課題です。

 性暴力根絶を目指すフラワーデモ、国に本気の痴漢対策を求める若者たちの行動―ジェンダー平等を目指すうねりは年々高まっています。誰もが尊厳を持ち、対等な関係性のもと安心して生きられる社会へ、力を合わせましょう。


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