2021年11月23日(火)
なくせ女性への性暴力
パリで対策強化求めデモ
毎年22万人被害
フランス各地で20日、女性や子どもへの性暴力に反対し、対策の抜本的強化を求めるデモが行われました。パリでは主催者発表で5万人(警察発表で1万8千人)が参加しました。(米沢博史)
「レイプは終わり」「司法は子どもを守っていない」。女性運動の象徴であるすみれ色のプラカードを持つ人々で、共和国広場からナシオン広場までデモコースの通りが埋め尽くされました。母親が若い頃に受けたレイプに反対してデモに参加したという中学生のクララさん(14)は、「ひとりじゃないってわかってうれしい。世論喚起が大事だと思う。学校では話題にならないから」と現地のメディア(「リベラシオン」電子版20日付)に述べました。
デモは、国連が定める「女性に対する暴力撤廃の国際デー」(11月25日)へむけた運動の一環として、#ヌートゥットゥ運動が呼びかけたもの。「ヌートゥットゥ」(#NousToutes)は、フランス語で「私たちみんな」という意味。性被害を告発する#MeToo運動を引き継いで18年7月に設立されました。
フランスでは毎年、100人以上の女性が夫か元夫に殺害されており、大きな社会問題となっています。同団体によると、毎年、22万人の女性が性暴力の被害を受けています。9万3000人がレイプ被害か未遂にあっており、うち9割が顔見知りによる犯行です。女性労働者の32%が職場でセクハラを受けた経験があります。
未成年がもっとも狙われやすく、性被害を受けた女性の6割、男性の7割が未成年です。
今年10月には、フランスのカトリック教会の聖職者による性的虐待を調査していた独立委員会が、過去70年間で推定20万人以上の子どもたちが性的虐待を受けたとの報告書を発表しました。
来年の春にはフランス大統領選と国民議会選挙が行われます。参加団体は、事態を変えるために、実効性のある抜本的な対策強化を政治に求めています。