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2021年11月18日(木)

「福祉灯油」拡充を

道実施自治体61% 19年度

民医連が調査・要請

 北海道の灯油価格上昇が止まりません。8日時点の全道平均価格(1リットル当たり、配達料込み)は109・5円と5週間で約10円値上がりしました。冬場の道民の命に直結するだけに、自治体への生活困窮世帯を対象とした「福祉灯油」の実施と拡充を求める声が広がっています。(党国会議員団北海道事務所・小田一郎)


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(写真)道民医連など6団体が道(左)に要請=15日、札幌市

 昨年11月9日の80・0円に比べ、約30円(37%)の高騰です。道消費者協会が300世帯から回収した「エコファミリー省エネアンケート」では、暖房に灯油を使っている世帯は84%、電気の36%を引き離し1位。風呂や給湯も灯油が7割を超え、トップです。(複数回答)

負担増4万円超

 年間一世帯当たりの灯油消費量は1417リットル。昨年より30円高い水準で推移すれば、年4万2000円の家計負担増になります。

 道民医連は2019年から2年がかりで、「福祉灯油」の実施状況をまとめました。

 07~19年度の13年間で12月に価格が90円を超えたのは7回。実施自治体の最多は07年度の175自治体(98%)、19年度は109自治体(61%)と低調でした。

 17自治体が「制度がない」と答え、札幌市は13年間、一度も実施せず、中核市の旭川、函館両市も09年度以降、未実施です。

 「毎年実施」と答えたのは7市41町8村の計56自治体。人口10万人以上では江別市が実施しています。

 支給対象について回答のあった142市町村中、130余の自治体が高齢者、障害者、ひとり親世帯を対象としている一方で、生活保護世帯は39自治体にすぎません。

 日本共産党の高橋千鶴子衆院議員は、生活保護世帯が福祉灯油から外されている問題を取り上げ、14年2月の衆院災害対策特別委で「灯油代の助成を生活保護制度上の収入に認定しない」との答弁を引き出しました。

 当時、道民医連職員として調査を担当した大須賀峰敏氏は「今年は、例年以上に灯油価格が高騰し、国と道、市町村の支援が急がれます。国は石油元売り会社の支援より、低所得者への直接支援につながるよう特別交付税措置を厚くしてほしい」と話します。

 「コロナ禍で困窮の度合いが深刻化している」と、道民医連などで構成する道社会保障推進協議会は、「福祉灯油」の実施を求める自治体要請や議会請願を重ねてきました。

凍える高齢者も

 釧路社保協や「いのちとくらしを守る釧路市民会議」は9月30日、再開を求めて市に要望。道東勤医協の調査で、室温15~13度で凍えるように暮らす高齢者の実態が明らかになりました。

 オホーツク勤医協では、「障害者・母子・高齢者・生活保護世帯に福祉灯油実施」を北見市に求める署名に取り組んでいます。


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