2021年11月11日(木)
COP26inグラスゴー
自然守り感染予防を
専門家・先住民ら対話
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【グラスゴー=桑野白馬】英北部で開催中の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で9日、自然を適切に保護することが、将来起こり得るウイルスの感染拡大を防ぐのに有効だと紹介するパネルディスカッションが行われました。健康・環境団体や、スウェーデンと中央アフリカ・ガボンの閣僚のほか、先住民コミュニティーの代表者が意見交換しました。
健康と環境の専門家でつくる「パンデミックを発生源から防ぐ連合」のナイジェル・シーザー代表は、新型コロナウイルスの感染拡大と気候変動に関し、科学者が以前から警告してきた点や、生活や命を壊す現象だという「共通点がある」と指摘。「二つの危機に対し、自然保護を土台にした解決が可能だ」として、野生動物から人間へのウイルス流出を防ぐことが、気候変動と生物多様性の危機に対処することになると話しました。
ブラジルの先住民族出身のジュマさんは、違法伐採や無謀な採掘行為が自然のバランスを崩し、ウイルス拡散を招いたと批判。森と川をきれいに保ったジュマさんのコミュニティーでは、コロナの感染は拡大しなかったと紹介し「森、川、空気を別々の問題として捉えず、一緒に守る努力をすれば、感染拡大の予防にもつながる」と話しました。
チャド先住民族女性・民族協会のヒンドゥー・イブラヒム会長は「自然を守れば、私たちを守り返してくれる」と強調。自然の守り手である先住民への資金援助と、一人ひとりが大量消費社会を見直すことが、結果的にウイルスの感染拡大を防ぐと訴えました。
スウェーデンのフリード国際開発協力担当相は「先住民は、私たちが状況を好転させるために必要な解決策を持っている」と強調。「この対話が、新しい予防策につながるよう包括的な対話を進めていきたい」と話しました。
ガボンのリー・ホワイト水・森林相は、国立公園で勤務していた経験に触れ「自然を壊さないこと」が、ウイルスの感染拡大を予防し、持続可能な未来につながると呼びかけました。