2021年11月10日(水)
改憲勢力 前のめり発言次々
草の根から新たな反撃さらに
今回の総選挙の結果、衆院では自民党、公明党、日本維新の会の改憲勢力が334議席となり改憲発議に必要な310議席を大きく上回りました。この結果を受け、改憲勢力からは前のめりの発言が相次いでおり、9条改憲をめぐる情勢は新たな重大局面を迎えています。
岸田文雄首相は開票翌日の1日、「党是である憲法改正を積極的に進めたい」と発言。自民党の「憲法改正推進本部」の陣容を新たにする構えです。米中対立の激化の中で「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調」した日米首脳共同声明(4月16日)を背景に、安保法制に基づく自衛隊の参戦体制の強化、「敵基地攻撃能力」の保有の検討など「戦争する国」づくりへの危険な動きを強めています。
■宿願
岸田首相の背後には、「岸田政権のもとで憲法改正を実現したい」と総選挙中、公然と訴えてきた安倍晋三元首相がいます。安倍氏にとって9条改憲はまさにやり残した宿願。コロナ禍で“停滞”を余儀なくされた改憲を再起動する強い執念を隠そうともしていません。
補完勢力の側も、日本維新の会の松井一郎代表が2日、来年の参院選の投票と同日で改憲の国民投票を実施するべきだと発言。9日には、日本維新の会と国民民主党が幹事長・国会対策委員長会談を開催し、衆参両院で、改憲原案の審査権限を持つ憲法審査会の定例日開催を与党側に求めることを確認しました。国民民主党の玉木雄一郎代表は7日のテレビ番組で「憲法審査会を毎週開いたらいい」と発言しています。
■狙う
2019年の参院選では、市民と野党の共闘が全国32の1人区のうち10選挙区で勝利した結果、参院では改憲勢力が改憲発議に必要な総議員の3分の2を割り込む状態となっています。改憲勢力は、国会での改憲論議を加速させながら、来年の参院選で3分の2議席の回復を狙って全力をあげてきます。
これに対し、市民と野党の共闘勢力は9月8日に市民連合と4野党の共通政策で「コロナ禍に乗じた憲法改悪に反対する」ことで一致。国会と草の根での改憲阻止のたたかいを新たに強めています。来年7月の参院選で、自公維改憲勢力の伸長を阻止し、改憲の野望を打ち砕くことが焦点の一つとなっています。