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2021年11月2日(火)

G20サミット閉幕

気候対策 成果乏しく

排出実質ゼロ「今世紀半ば」

 ローマで開かれていた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)は10月31日閉幕しました。気候変動対策が焦点でしたが、首脳宣言では、温室効果ガスの排出実質ゼロの目標年次は「今世紀半ばまでか、半ばごろ」というあいまいな表現に終わりました。国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)直前に、世界の温室効果ガス排出量の8割を占める主要国首脳が集まりましたが、「大きな期待、少ない成果」(ドイツ海外向け公共放送ドイチェ・ウェレ)、「G20の石炭抑制は限定的」(英フィナンシャル・タイムズ)などと、西側メディアは批判的に報じました。(伊藤寿庸)

対立根深く表現あいまい

 首脳会議では、排出削減対策をしていない海外の石炭火力発電所新設への公的支援を年内で停止することで一致。しかし国内の石炭火発の段階的廃止については言及されませんでした。

 COP26の議長国英国のジョンソン首相は、G20では「ある程度の前進」だったとしつつ、COP26には「残された大きな道のりがある」と表明。「もしグラスゴー(のCOP26)が失敗すれば、すべてが失敗する」と警告しました。国連のグテレス事務総長は、「私の希望は満たされないまま、ローマを離れる」と述べました。

 他方、G20議長国イタリアのドラギ首相は、「われわれは石炭離脱を決めた」として、「COP26のしっかりとした基盤ができた」と評価しました。

 首脳宣言は、「温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする重要性」に、G20として初めて言及。しかし目標年次では、工業国側が「2050年」を明記しようとしましたが、中国が「60年までに実質ゼロ」の目標を変えませんでした。インドやロシアも同様の主張をしたとみられます。国連の気候会議の場でも工業国と途上国との対立が根深く続いており、独フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)紙は「古い紛争が、再び現れた」と報じました。

 FAZ紙は、今世紀末までの気温上昇を1・5度未満に抑えるために、最初の草案は「即時の行動」をとるとしていたが、「意味ある効果的な行動」へと薄まったと指摘。さらに1・5度未満に抑えることを「射程に入れ続けるために」とあいまいになった経過を報じました。


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