2021年11月1日(月)
スーダン 大規模デモ
クーデターに抗議
「軍は国民の意思奪えない」
【カイロ=秋山豊】スーダン各地で30日、軍のクーデターに抗議する大規模デモが起きました。人びとは国旗や横断幕、プラカードを手に「民主的国家を! 自由を!」「軍の支配を打ち破ろう」と唱和しながら行進。医師団体は、治安部隊がデモ参加者3人を射殺したと発表しました。
手拍子や太鼓の音に合わせて抗議のスローガンを叫ぶ市民の声が路上に響きました。軍が排除したハムドク首相の肖像を掲げる市民もいました。
首都ハルツームで飲食店を営むアハメド・タヘイルさん(29)は本紙の取材に応じ、「軍に断固たる抵抗を示し、民主国家としての土台を築く政府を求める」と語りました。
軍は25日、ハムドク氏ら文民政治指導者を拘束して権力を掌握しました。以来、抗議デモやストライキが起きています。
ロイター通信によると30日には、中部、北部、東部、西部の都市でデモが行われました。電話回線とインターネットが制限されており、ビラや地域での集会などで参加が呼びかけられました。治安部隊はデモに対し催涙ガスと銃を使用し、ハルツーム近郊では死者が出ました。
同国では2018年12月にパン値上げへの抗議デモが起き、当時のバシル大統領退陣を求めるデモに発展。翌年、デモが続くなかで軍がバシル氏を解任し、約30年続いた政権が崩壊。市民は民主的な政府を求めるデモを続け、軍民が民政移管まで合同で統治することを合意しました。
ハルツームの学生、アイヤ・アブドゥルハミドさん(21)は「私たちはバシル政権を倒し、民政への要求を自由に表現できる権利を得た。この成果を軍は壊そうとしているが、国民の意思を奪うことはできない」と語りました。