2021年10月28日(木)
北朝鮮問題、中国にどう向き合うか
北朝鮮によるミサイル発射実験、中国公船による尖閣諸島周辺での領海侵犯―。この二つの国の横暴な行動は日本国民を不安にさせています。こうした問題にどう対処すればいいのか。日本共産党は次のように考えます。
北朝鮮―地域の平和脅かす行為非難、対話への動き後押しする外交を
北朝鮮の弾道ミサイル発射実験は、核兵器開発と一体のものです。だからこそ、国連安保理は弾道ミサイル関連の活動を禁じた決議を採択してきました。弾道ミサイル発射はこの決議に違反する行為であり、日本と地域の平和を脅かす行為として厳しく非難されなければなりません。
岸田文雄首相は、この問題に関連して、北朝鮮のミサイル基地を攻撃対象とする「敵基地攻撃能力の保有」も選択肢だと述べています。こうした軍事対軍事の対応は、紛争や戦争にもなりかねない危険な道です。
北朝鮮への対応については外交的な解決しかありません。実際、その条件は大いにあるのです。
米国と韓国は今年5月の首脳会談の共同声明で、「2018年の板門店宣言とシンガポール共同声明など既存の南北間、米朝間の外交と対話が、朝鮮半島の完全な非核化と恒久的平和定着を実現する上で必須」と確認しています。北朝鮮のミサイル発射が続く今月19日にも米ホワイトハウスのサキ報道官は「今回の発射は、対話と外交の緊急性を示している」と述べ、北朝鮮に対して前提条件なしに対話を開始する提案を維持する立場を示しました。
米国も韓国も対話と外交で解決しようと取り組んでいます。この動きを日本政府も全力で後押しするような外交が必要だと考えます。
中国―覇権主義を国際法違反と断固批判、冷静な批判で外交的包囲を
中国による横暴な行動、とりわけ日本の領土である尖閣諸島など東シナ海での覇権主義的なふるまいは国際法を踏みにじるものであり絶対に許せるものではありません。
ここでも必要なのは軍事力の強化ではなく、国際法を守れと国際世論で包囲し、平和的手段で冷静に問題解決を図ることです。
この点で自公政権に足りないのは、国際法違反だと中国に正面から指摘することです。外交的批判に徹することなく、軍事的対応に傾けば、中国に軍拡と軍事介入の口実を与えてしまう、ある意味「中国の思うつぼ」とさえなりかねません。中国を外交的に包囲していく冷静な対応こそ必要です。
中国の行動を批判する米国は、英国・オーストラリアと軍事・安全保障の新たな枠組み「AUKUS(オーカス)」を結成するなど、対中国の軍事的包囲の動きを強めています。
しかし、中国を一方的に排除する対応は危険です。排他的なやり方ではなく、中国も一員として包み込む地域の平和秩序をつくっていく包摂的アプローチが求められています。
参考になるのは東南アジア諸国連合(ASEAN)の対応です。ASEANは、南シナ海のほぼ全域に権益があると主張する中国と深刻な対立をしている国ぐにも含んでいますが、ASEAN全体として、軍事で対抗するのではなく、中国を排除しない形での多国間対話・協力の重層的枠組みを構築してきました。
日本は憲法9条を持つ国です。ASEANの経験に学び、平和と安定の地域秩序をつくる外交努力に力を入れることこそ、日本の進むべき道だと考えます。