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2021年10月10日(日)

4つのチェンジで希望ある日本を

大企業増税は世界の流れ

不公平税制是正を今こそ

図

 富裕層と大企業の税負担をとめどなく減らす新自由主義的な「底辺への競争」を封じ込めようという国際的な機運が高まっています。新自由主義と決別して富裕層と大企業に応分の負担を求めるという日本共産党の税制改革案は、世界の大きな流れになりつつあります。(杉本恒如)

現状は富裕層優遇

グラフ

グラフ①:資本階級別の法人税実質負担率(2019年度)

(拡大図はこちら)

 日本では所得税の最高税率と法人税率が次々に引き下げられ、消費税率が引き上げられてきました。安倍晋三政権は法人実効税率(国・地方の法定税率)を37%から29・74%へ下げ、消費税率を5%から10%に上げました。富裕層の負担を低・中所得層に転嫁する、新自由主義的な税制改革の典型です。

 消費税導入後の33年間で消費税の税収は累計448兆円にのぼる一方、法人3税と所得税・住民税の税収は合わせて609兆円も減りました。

 現在、日本の大企業の実質的な法人税負担率は法定税率より大幅に低くなっています。例外的に税負担を軽くする租税特別措置や、グループ内企業の黒字と赤字を相殺して税額を減らす連結納税制度など、大企業向け優遇税制があるためです。

 日本共産党の試算では、資本規模の大きな企業ほど実質税負担率が下がります。大企業の負担率は10・2%。連結納税法人の負担率はわずか4・6%です。(グラフ①)

グラフ

グラフ②:所得階級別の所得税負担率(2019年分)

(拡大図はこちら)

 個人所得税も富裕層に有利な構造になっています。所得が1億円を超えると税負担率が下がるのです(グラフ②)。株の配当や譲渡益が分離課税とされ、住民税を含めても20%という低い税率になっているためです。

 岸田文雄首相は「新しい資本主義の実現」を掲げながら、安倍政権が行った法人税減税や消費税増税に反省がありません。所得税負担率が下がる「1億円の壁」への対応も検討課題とするだけで具体策がありません。これでは新自由主義の転換になりません。

 日本共産党は「四つのチェンジ」の中で税金の不公平を根本からただす改革を提案しています。(別項)

「最低税率」の動き

 世界は急速に変化しています。

 GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などの多国籍企業は租税回避地を使って海外での税負担を極限まで減らしてきました。

 身勝手な多国籍企業に対し、全世界が協調して法人税の「最低税率」(最低負担率)を課そう―。経済協力開発機構(OECD)を中心に新ルールの案がつくられ、8日に136カ国・地域が最終合意に達しました。国際交渉に参加してきた財務省主税局の担当者は「目的は二つ」だと話します。

 「一つは企業の競争条件を平準化すること。もう一つは法人税の減税競争に歯止めをかけることです」

 大企業は「国際競争」を理由に法人税減税を各国政府に迫ってきました。その結果が、世界各国が足を引っ張り合い、総じて税収を空洞化させる「底辺への競争」です。米国のイエレン財務長官は「この競争に勝った国は一つもない」(7月2日)と嘆いています。

 最低負担率導入の狙いは、租税回避地を使って税負担を減らす企業間の国際競争に制限を設けることで、国家間の租税競争を抑止する点にあります。

 136カ国・地域が合意した法人税の最低負担率は15%です。ある企業グループの子会社(または親会社)の実質税負担率がそれより低ければ、親会社(または子会社)の所在地国が上乗せ課税する仕組みです。例えば日本企業の親会社が日本政府の税制優遇を受けて実質税負担率10%になる場合、最低負担率15%に満たない5%分を、他国の政府が子会社から徴税します。大企業優遇税制を縮小・廃止して国内で公平に課税する政策の合理性がますます高まります。

「税金の不公平をただす」日本共産党の改革案骨子

○消費税率を5%に引き下げ、インボイス制度の導入を中止します。

○租税特別措置や連結納税など、大企業優遇税制を廃止・縮小します。

○法人税率を、中小企業を除いて安倍政権以前の28%に戻します。

○富裕層の株取引への税率を欧米並みの水準に引き上げます。

○所得税・住民税の最高税率を現行の55%から65%に引き上げます。

○富裕層の資産に毎年低率で課税する富裕税など、新たな税制を創設します。


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