2021年10月8日(金)
ミャンマー危機でマレーシア
民主派政府との対話検討
仲介に軍事政権協力しない場合
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【ハノイ=井上歩】マレーシアのサイフディン外相は6日、ミャンマー危機に対応する東南アジア諸国連合(ASEAN)の仲介努力にミャンマー軍事政権が協力しない場合、民主派の「国民統一政府(NUG)」との対話を検討すると明らかにしました。国会質疑での答弁をベルナマ通信が伝えました。
ASEANは4月の首脳会議でまとめた「5項目合意」に基づき、議長特使によるミャンマー国内各派の対話仲介を追求。しかし、アウンサンスーチー氏らクーデター前の政権指導部との面会要請に対する軍政の非協力が4日の外相会議で報告され、多くの加盟国が「失望」を表明しました。
サイフディン氏は国会質疑で、「5項目合意」に進展がなければ10月下旬のASEAN首脳会議に軍政トップを招くのは難しいとする立場を改めて表明しました。
ロイター通信によると、ASEAN議長特使に就いたブルネイのエルワン第2外相は6日、記者会見を開き、軍政の「5項目合意」不履行はASEAN首脳に対する「約束の撤回に等しい」と指摘。ASEAN諸国は軍政代表の首脳会議出席問題を「熱心に議論している」と明らかにしました。
ミャンマー独立系メディア「イラワジ」は、軍政トップのミンアウンフライン総司令官が軍政の正統性をアピールするためASEAN首脳会議出席に強い意欲を示していると報じています。
人権団体「政治犯支援協会」によると、軍政の弾圧による死者は6日時点で1158人、拘束されている人は7104人にのぼります。国内の複数地域で武力抵抗する「国民防衛隊」(PDF)、少数民族勢力と国軍との激しい衝突が継続。紛争や経済危機による人道状況の悪化が伝えられています。