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2021年10月6日(水)

対ミャンマー軍政 ASEAN外相が失望表明

特使の仲介に協力せず

首脳会議への出席拒否も

 【ハノイ=井上歩】東南アジア諸国連合(ASEAN)は4日、オンライン形式で外相会議を開き、国軍のクーデター後の混乱が続くミャンマー問題を協議しました。各国外相は、ASEAN議長特使による対話仲介の努力に協力しないミャンマー軍事政権に不満を表明。一部の加盟国からはASEAN首脳会議への軍政代表の出席を問題視する声が上がりました。

民主派への面会認めず

 会議では、8月にASEAN議長特使に就任したブルネイのエルワン第2外相が、暴力停止や対話仲介を柱とするミャンマー問題でのASEAN「5項目合意」の実施状況と問題点について説明。これをうけてマレーシアのサイフディン外相は、軍政が「ASEAN特使に協力していないことに失望している」と表明。このままでは10月下旬のASEAN首脳会議で、軍政トップのミンアウンフライン総司令官の出席を受け入れることは「難しい」と述べました。同外相が会議後、SNSで明らかにしました。

 ロイター通信によるとインドネシアのルトノ外相は会議後の記者会見で、「特使の努力に対して国軍は積極的な反応をしなかった」と説明。「ほとんどの加盟国が失望を表明し」「ASEANは(これ以上軍政代表の参加を)通常のごとく対応できないという国もあった」と明らかにしました。

 シンガポールのバラクリシュナン外相は、ASEAN外相がそろって「特使に協力するようミャンマー軍政に求めた」とSNSで明らかにしました。

 ASEANは8月のASEAN外相会議で、対話を仲介する特使には「すべての当事者への完全なアクセス」が認められるべきとの考えを共同声明に明記。エルワン特使は、前国民民主連盟(NLD)政権のアウンサンスーチー国家顧問との面会を追求してきました。

 AFP通信は1日、ミャンマー軍政の報道官が裁判中のスーチー氏との面会を認めるのは「難しい」と語ったと報道。「正式な組織との会合は認める」とも述べたとされ、軍政が「テロ組織」に指定している民主派との接触に反対であることを示唆しました。

 ミンアウンフライン氏も出席した4月の臨時首脳会議でまとめられた「5項目合意」について、軍政側はASEANからの「提案」であり「慎重に検討する」との姿勢をとります。しかしミャンマー問題対応を主導したASEAN諸国は、各国首脳を前にした国軍トップの「約束」とみなしており、不履行がはっきりしたならば軍政に厳しい態度で臨む構えです。

 ASEANは各種会議に軍政代表の出席を認めてきたものの、8月のASEAN外相会議では出席した軍政「外相」をミャンマーの正統な外相と扱わないように共同声明の文章を調整しました。

 国際舞台でのミャンマーの正統代表をめぐっては、9月の国連総会で民主派に支持されるチョーモートゥン国連大使が、一般討論演説を見送ったものの大使の地位を維持。ASEANとの関係が悪化すれば軍政の国際的な孤立は決定的に深まることになります。


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