2021年9月30日(木)
女性の人生 選ぶ権利認めて
安全な妊娠中絶へ
中南米各国 数万人デモ
安全な妊娠中絶の保障などを掲げる「国際セーフ・アボーション・デー」にあたる28日、中南米各国で数千から数万人の女性らがデモを行い、女性の人生を左右する妊娠・出産に関する「選択の権利を認めよ」と政府や議会に求めました。
メキシコでは今月7日、最高裁が妊娠中絶に刑罰を科す地方州の刑法条項について違憲判決を出したばかり。連邦政府はこの判決を受け、妊娠中絶を理由に禁錮刑を受けて収監されている女性を釈放する方針を示しています。
首都メキシコ市内のデモでは、収監中の女性の即時釈放が中心要求として掲げられました。ロイター通信の取材を受けたデモ参加者の女性は、「私は母親になりたいのかどうかまだわからない。でも、選択する権利を持ちたいと思う」と語りました。
チリでも、議会があるバルパライソ市内に数千人の女性が集まり、議会で審議中の中絶合法化法案の可決を要求しました。
同国では、性犯罪による妊娠、母親の生命が脅かされる場合などで、妊娠中絶が認められますが、条件を満たさない中絶は犯罪とされてきました。法案は、条件を満たさない場合でも妊娠14週までの場合は妊娠女性の意思を尊重し、合法化するもの。28日深夜に下院が僅差で法案を可決し、集まった女性らの中から「大きな勝利だ」との声が上がりました。
中南米各国は妊娠中絶に反対の立場をとるカトリック教会の影響が強く、中絶の権利を全面的に認めている国はごく少数。レイプ被害など例外的に中絶を認める国もある一方、いっさいの例外を認めず重い禁錮刑を科す国も少なくありません。
中絶に対して最も厳しい罰則を持つ国の一つエルサルバドルでも、数百人が首都サンサルバドル市内で行動。「決めるのは私たちの権利」「安全で合法的な、無料での中絶を」と書かれた横断幕を掲げて行進しました。
国際セーフ・アボーション・デー 安全な妊娠中絶(セーフ・アボーション)を選ぶ権利の保障を求める日(9月28日)。中南米の女性たちが、中絶の合法化を求めて1990年代から、この日に行動してきたことを踏まえ、2011年から「国際デー」に。世界各国で女性たちが「性と生殖に関する健康と権利」の保障を求め、統一行動を行っています。