2021年9月23日(木)
国連総会一般討論
米大統領“同盟国を重視”
外交強調も「必要なら武力」
【ワシントン=島田峰隆】バイデン米大統領は21日、就任後初となる国連総会での一般討論演説に臨みました。バイデン氏は「米国自身の未来のためにもパートナー国と力を合わせねばならない」とし、同盟国との連携や外交を重視する姿勢を強調しました。「米国第一」を掲げたトランプ前政権からの転換をアピールしました。
バイデン氏は、インド太平洋のように米国が重視する地域や課題に対しては「国連のような多国間機構と協力して同盟国やパートナー国とともに行動する」と指摘。就任以来、軍事同盟の北大西洋条約機構(NATO)や地域機構の東南アジア諸国連合(ASEAN)などとの関係を再構築、再活性化してきたと述べました。
一方で今後も米国や同盟国を攻撃から守るとし、「必要なら武力を使う」とも表明。ただ軍事力は最後の手段だとし、新型コロナウイルスのように「今日の課題の多くは武力では解決も対処もできないものだ」との認識を示しました。
バイデン氏は名指ししないものの中国を念頭に「世界のあらゆる大国は、責任ある競争が紛争にならないように関係を注意深く管理する義務がある」と強調。力による現状変更や経済的抑圧などには反対すると表明しました。
同時に「新たな冷戦は望まない」とし、「他の分野で意見の大きな違いがあっても、共有する課題への平和的な解決に向けてあらゆる国と協力する用意がある」と語りました。
気候危機については国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)へ「可能な限り高い目標」を持ち寄るよう呼び掛けました。気候変動対策は雇用増や生活の質の向上など「自らと未来に投資する機会だ」と訴えました。
イラン核合意への復帰を目指す姿勢を改めて表明。北朝鮮については「真剣かつ持続的な外交を行って朝鮮半島の完全非核化を目指す」としました。