2021年9月15日(水)
米国で法人税増税案
下院民主党 福祉拡充の財源に
【ワシントン=島田峰隆】米議会下院の与党民主党は13日、連邦法人税率を現在の21%から26・5%に引き上げる案を発表しました。子育てや教育の支援などに10年間で3・5兆ドル(約385兆円)を投じる福祉拡充策の主要財源とします。
法人税率はバイデン大統領が主張していた28%を下回りますが、トランプ前政権が進めた富裕層・大企業減税を転換する動きです。米紙ワシントン・ポストは「金持ちや一定の企業に対する、ここ数十年で最も顕著な増税」「格差拡大に対処するというバイデン氏の公約を反映している」と指摘しています。
下院歳入委員会のニール委員長が発表した案によると、多国籍企業の海外収益に課す最低税率は現行の10・5%から16・5%に引き上げます。
年収が40万ドル(約4400万円)を超える人については、所得税率を現行の37%から39・6%へ引き上げます。500万ドル(約5億5000万円)超の場合は3%の付加税を課すとしています。株式などの売却益についても増税します。
下院民主党は8月下旬、3・5兆ドル規模の福祉拡充に向けた財政枠組みに関する予算決議を可決。10月から始まる新会計年度を前に関連法案の策定を急いでいます。
ニール委員長が発表した案について、民主党進歩派議員連盟の共同代表ジャヤパル下院議員は13日、「大金持ちや巨大企業が公平に負担する時代がやってきた」と強調しました。