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2021年9月8日(水)

シリーズ検証 安倍・菅政権の9年

強権政治

辺野古 民意圧殺の国家犯罪

 「安倍政権の継承」を最大の看板にした菅義偉首相が政権を投げ出しました。9年におよぶ安倍・菅政権の破綻です。安倍・菅政治をシリーズで検証します。


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(写真)土砂の投入作業が強行された埋め立て区域=2018年12月14日、沖縄県名護市辺野古

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(写真)抗議の座り込みを行う市民=2019年10月18日、米軍キャンプ・シュワブ(沖縄県名護市辺野古)ゲート前

 「国家犯罪だ」。沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設反対のたたかいに長く参加している浦島悦子さん(同市在住、フリーライター)は、沖縄県に対する安倍・菅政権の所業をこう断じます。8割もの住民が反対しても無視。抗議する市民を機動隊や海上保安庁が強制排除して違法工事を強行。司法まで動員して反対の声を圧殺する…。9年間の安倍・菅強権政治が、最も露骨に表れたのが沖縄です。

 2013年1月、県内全41市町村長と議長、全県議らが署名し、普天間基地の「県内移設断念」を求めた「建白書」が、就任間もない安倍晋三首相に提出されました。本来なら、ここで新基地建設は断念すべきでした。

県の権限封殺

 しかし、安倍政権は同年11月、自民党の県選出国会議員と仲井真県政に公約を撤回させ、集団的自衛権の行使容認と同じ14年7月1日、新基地建設を閣議決定しました。

 同年11月には、新基地建設反対を掲げる「オール沖縄」翁長県政が発足し、15年10月、辺野古埋め立て承認を取り消しました。しかし、安倍政権は「国と自治体は対等」という地方自治の原則をゆがめ、県の権限を封殺して工事を強行します。18年7月、末期がんに冒された翁長雄志知事が最後の力を振り絞って埋め立て承認撤回を決断。玉城デニー氏が知事選で圧勝して「オール沖縄」県政を継承しますが、安倍政権はこうした民意を平然と無視し、同年12月、ついに土砂投入に踏み切りました。

 こうした、沖縄への強権政治の司令塔を担ってきたのが当時の菅義偉官房長官や公安警察出身の杉田和博官房副長官らでした。「粛々と工事を進める」。沖縄県民が選挙で何度民意を示しても、菅氏の口からは冷徹な言葉が繰り返されました。

“ノウハウ”に

 菅氏は、辺野古で得た住民弾圧の“ノウハウ”を、同県東村高江でのヘリパッド建設にも適用します。全国から機動隊を動員し、抗議する住民を暴力で排除。菅氏は首相就任後、高江での工事を、「沖縄の負担軽減」と称し、自らの実績として何度も誇っています。

 沖縄に深刻な傷痕を残した安倍・菅政治。浦島さんは、「菅氏の退陣表明は本当によかった。でも、総裁選の顔ぶれを見ても、何も変わらないのは目に見えている」と指摘。何としても、総選挙での野党勝利が必要だと訴えます。

学術会議介入 問答無用

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(写真)インターネット上に公開される各大学や多彩な学会、消費者団体、宗教団体による政府の日本学術会議任命拒否に対する抗議声明

 安倍・菅政権の強権のテコが人事権でした。安倍政権は2014年、内閣人事局を発足させ、官邸が中央省庁の幹部人事を一元管理する仕組みをつくります。当時、官房長官だった菅首相が主導し、実質的な人事を担いました。

 官邸が人事権を掌握するもとで、官僚は政権に逆らえなくなり忖度(そんたく)政治の温床となりました。森友・加計疑惑などの政治の私物化問題では官僚による忖度と国会での虚偽答弁、公文書の隠ぺい・改ざんが起こりました。

批判で廃案に

 森友学園問題で安倍晋三首相が刑事告発を受ける中で、検察幹部の定年延長を閣議決定し、検事総長に据えることを画策。違憲・違法の批判を受けると、閣議決定を追認する検察庁法改悪案を国会に提出(20年3月)し、ごうごうたる国民の批判で廃案にせざるを得ませんでした。

 安倍政治の継承を掲げ、同年9月に発足した菅政権は、無法な強権を学問の世界にも振るいます。菅首相は、学術会議が推薦した会員候補105人のうち6人の任命を拒否したことが「赤旗」のスクープで明らかになりました。(同年10月)

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(写真)日本学術会議の任命撤回をはじめ、さまざまな要求実現を求めて集まった参加者=2020年11月18日、衆院第2議員会館前

理由を答えず

 憲法23条の「学問の自由」の規定に基づき、学術会議法3条は「独立して…職務を行う」と定め、高度の独立性を大原則としています。戦前の軍国主義による学問弾圧の経験への反省から明記されたのです。任命拒否は学術会議法に反し、「学問の自由」を侵害する違憲・違法な人事介入です。

 しかも菅首相は、学術会議や多くの学会から求められても任命拒否の理由を答えず、「総合的、俯瞰(ふかん)的活動を確保する観点」から任命したと言うのみです。問答無用で任命拒否に従えという態度です。

 任命拒否に対して、学問分野を問わず1000を超える学会が反対声明を出し、数十万の反対署名が短期間で集まりました。

 安倍・菅政権の強権の根底には立憲主義破壊という無法があります。説明のつかない政治をごり押しするために強権を振るうのです。コロナ感染爆発と医療崩壊のもと、国民の命と暮らしの危機が広がる中、野党の求める国会開会に応じず、強権政治の破綻があらわになりました。


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