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2021年8月18日(水)

主張

アフガン政権崩壊

報復戦争の誤りから教訓学べ

 アフガニスタンの反政府勢力タリバンが首都カブールの大統領府を制圧し、アフガン政府は崩壊しました。米国は、2001年9月に起きた同時多発テロの容疑者をかくまっているとしてタリバンが統治するアフガンに空爆を開始し、その後20年近くにわたって戦争を続けてきました。もたらされたのは多大の犠牲と混乱でしかありませんでした。政権崩壊とタリバン統治の復活は、対テロ報復戦争の破綻を示しています。

軍事力でテロなくせない

 01年10月に米国などが開始したアフガニスタンへの軍事攻撃は国連憲章も国際法も無視したものでした。日本共産党は、テロを糾弾するとともに、国連憲章と国際法に基づいて国連が中心となりテロ容疑者に法の裁きを受けさせることを強く求めました。報復戦争はさらなる報復を招き、事態を泥沼化させると警告しました。

 タリバン政権は01年11月に崩壊しましたが、抵抗は続き、米国史上最長の戦争となりました。20年間の死者は兵士、民間人を合わせて16万人を超え、うち4万7000人余がアフガンの民間人とされます。

 同時多発テロの首謀者と目されたビンラディン容疑者は11年5月に米軍によって殺害されました。国連のもとに国際法廷を開くことを含め、法に基づく裁きを受けさせ、その中でテロ事件の真相を解明することもできたはずです。容疑者を殺害したことで事件の解明も法の裁きもできなくなってしまいました。テロはその後もなくならず、世界に拡散されました。

 アフガニスタンでは01年以前から内戦が続いていました。報復戦争は同国自身による政治解決の道を閉ざしてしまいました。タリバンを軍事力で排除した後、新憲法の制定や大統領の選出が行われました。しかし、いくつもの勢力が分立する同国で、米国が軍事介入して国家を再建しようとしても行き詰まるだけでした。

 米軍の攻撃は多くの民間人を巻き添えにし、憎しみを買いました。タリバンとアフガン政府の和平交渉も進展せず、勝手に戦争を始めた米国は、自国の都合で軍を引き揚げました。混乱の中に放り出されたのがアフガン人民です。

 アフガニスタンは長引く戦争によって今も世界の最貧国の一つです。タリバンはテロへの関与のほか、女性差別など人権侵害を国連から非難されています。今後どのような統治をするかは未知数ですが、人民が犠牲になる事態を引き起こすことは許されません。

 米国と国際社会は、アフガンへの20年間の軍事介入がテロ問題を解決せず、同国を一層の苦難に陥れたことから教訓を学び、同国の再建に責任を果たすべきです。

日本の加担も問われる

 日本は戦争の当事国でした。報復戦争にあたって米国から「ショー・ザ・フラッグ」(旗幟〈きし〉鮮明にせよ)と迫られた当時の小泉純一郎政権は、テロ特別措置法を急いで成立させ積極的に応じました。イージス艦、補給艦などの自衛艦をインド洋に派遣し、洋上給油で米軍などを支援しました。

 報復戦争の失敗が明確になった今、日本は米軍の無法な戦争に加担した誤りを認め、憲法第9条に基づいて国際紛争の解決に貢献する本来の姿に立ち返らなければなりません。


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