2021年8月14日(土)
大富豪に課税すれば世界全成人にワクチン接種可
NGO報告書
【ワシントン=島田峰隆】新型コロナウイルスの感染拡大が始まった昨年3月から今年7月末までの期間に世界のビリオネア(保有資産10億ドル以上の大富豪)の資産は69%も増えました。国際NGO「オックスファム」など4団体が11日の報告書で指摘しました。報告書は、富裕層に課税すればコロナ対策の費用を容易にまかなえると強調しています。
世界の2690人のビリオネアの資産総額は7月末時点で13兆5000億ドル(約1493兆円)に達しました。コロナのパンデミック(世界的大流行)が始まる前は8兆ドル(約885兆円)でした。
コロナ禍で世界では2億人以上が貧困に陥りました。世界の女性の収入は昨年、少なくとも8000億ドル(約88兆円)も減りました。毎分11人が飢餓や栄養不良で死亡し、コロナ感染で亡くなる人のペースを超えています。
報告書の試算によると、ビリオネアが増やした資産総額に税率99%で1回限りの課税を行うだけで、地球上の成人全員にワクチン接種を2回行い、失業者全員に1人あたり2万ドル(約221万円)の現金給付を行う予算が生まれます。
この税金を払ったとしてもビリオネアの手元には、パンデミック期間中に増やした資産総額のうち550億ドル(約6兆円)が残ります。
オックスファムで貧富の格差対策を担当するマックス・ローソン氏は「貧富の格差は埋めることが不可能な規模になりつつある。ビリオネアへの課税のような政策をとってこそ不平等とたたかい、貧困をなくすことができる」と述べました。