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2021年8月11日(水)

イージス代替艦 見送りへ

来年度概算要求への建造費計上 設計見通せず

なおレーダー導入固執

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(写真)「イージス・システム搭載艦」の候補となっているイージス艦と多胴艦。写真は(上)イージス艦「まや」と(下)音響測定艦「はりま」=いずれも海上自衛隊提供

 防衛省は、導入を断念した陸上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」(陸上イージス)の代替となる「イージス・システム搭載艦」をめぐり、8月末に取りまとめる2022年度予算概算要求への建造費の計上を見送る方針を固めました。大型艦船の建造には5年程度かかるため、大幅な遅れが生じます。

 防衛省は5月、設計や技術支援に関し、三菱重工業など3社に調査を委託しましたが、契約期間は22年4月から23年3月までとなっており、早い段階から、来年度概算要求への計上は困難視されていました。

 イージス・システム搭載艦は、もともと地上配備を想定していた米ロッキード・マーチン社製のSPY7レーダーを艦船に搭載する前代未聞の計画です。同レーダーを搭載するために従来のイージス艦を大型化する必要があり、洋上での安定性を確保するために「多胴艦」型にするとの案も浮上。運用や設計をめぐって迷走が続いています。

 一方、SPY7レーダー導入は予定通り進める方針で、艦船に搭載するための塩害対策などの改修費用は概算要求に盛り込みます。

 イージス・システム搭載艦は運用・維持費を含む総経費が1兆円を超えるとみられ、自衛隊史上最も高価な洋上兵器となります。

 イージス・システム搭載艦 安倍前政権がトランプ前米政権の要求を受けて17年12月に陸上イージス導入を閣議決定し、秋田・山口両県への配備を決定。しかし、地元の強い反対や迎撃ミサイルのブースターが演習場外に落下する可能性があることから昨年6月、導入を断念。しかし、SPY7レーダーの導入に固執し、昨年12月、菅政権がイージス・システム搭載艦2隻の導入を閣議決定。2政権の閣議決定にもかかわらず、計画は破綻に直面しています。


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