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2021年8月10日(火)

温暖化要因

人間活動 疑いない

IPCC報告 40年までに1.5度上昇

 【ベルリン=桑野白馬】国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)第1作業部会は9日、地球温暖化について世界の科学者の知見をとりまとめた報告書を発表し、人間の活動が地球温暖化に与える影響について「疑う余地がない」と初めて断定しました。

 報告書は、2021~40年の間に世界の平均気温が約100年前と比べて1・5度上昇する可能性が高く、熱波や温暖な季節の長期化などの異常気象や海面上昇が深刻化する恐れがあるとして警鐘を鳴らしました。

 五つの温室効果ガス排出シナリオを設定し、気温上昇を予測。もっとも厳しいシナリオでは、2100年までに上昇幅が4・4度に達すると紹介しました。50年に温室効果ガス排出を「実質ゼロ」にするシナリオでも、40年までに1・5度に達するとの見方を紹介しました。

 前回の13年の報告書は、地球温暖化は「人間の活動が主要な要因であった可能性が極めて高い」と記載。今回は「人間の影響によるものだとの証拠がより強固になった」と踏み込みました。

 前回報告書を受けて採択された「パリ協定」では、気温上昇を2度未満、できれば1・5度に抑える目標を掲げました。ただ、20年の時点で既に気温が約1・1度上昇したと紹介しています。

 一方、温室効果ガスの排出量を「強力に、持続的に」削減すれば「気候変動の影響は抑制されるだろう」と強調。気温上昇を1・5度にとどめれば、異常気象などの抑制は可能だとしています。

 同日に記者会見した国連環境計画(UNEP)のインガー・アンダーセン事務局長は、報告書を受けて気候変動を「差し迫った危機として捉え、今すぐ行動する必要がある」と指摘。IPCCのホーセン・リー議長は、報告書は「世界的な科学的根拠に基づき、気候変動の知識を深めるもの」と強調。10月末に英グラスゴーで開かれる国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に向け、交渉担当者の「新たな科学的根拠となるだろう」と語りました。


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