2021年8月4日(水)
辺野古沖の島 未知の鍾乳石
米軍基地建設の影響懸念
沖縄・長島
米軍の新基地建設に伴う埋め立て工事が進められている沖縄県名護市の辺野古崎沖合にある長島の鍾乳洞で、九州大学の浦田健作博士たちのグループがこれまで世界でも知られていなかった鍾乳石などを発見し、沖縄地理学会誌(7月31日付)に研究結果を発表しました。日本自然保護協会が3日、明らかにしました。
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長島は辺野古崎の東方沖約800メートルにあります。研究グループは2018年9~10月の3日間、日本自然保護協会の協力・支援のもとで島の南西側にある鍾乳洞の測量や内部の地形および鍾乳石の観察・記載を行いました。
その結果、大きく三つの部分に分けられた鍾乳洞の北洞のサンゴ礫(れき)広場と名づけた場所から、枝サンゴと軽石からなる海浜礫を石灰質沈殿物で固めた特殊な鍾乳石が四つ見つかりました。大きさは、高さが30~70センチ、直径15~20センチでした。このような鍾乳石はこれまで知られていないため、研究グループは「固結礫塔(こけつれきとう)」と名づけました。
研究グループの藤田喜久・沖縄県立芸術大学教授は「これまで沖縄の洞窟はひととおり見てきて、多少サンゴ礫がかたまっているのは見たことがあるが、今回のようなものは初めてで驚いた。どのように形成されたかは、これからさらに調べる必要がある」と話します。
鍾乳洞からは、沖縄県でこれまで見つかっているさまざまな種類の鍾乳石の大部分が確認されたほか、「ビーチロック通路」と名づけた場所の床面からは海浜で形成されるビーチロック層に似た「ビーチロック類似層」が見つかりました。このような層は、少なくとも国内の洞窟内では確認がまれだといいます。