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2021年8月4日(水)

五輪開会日 ブルーインパルス 航空法違反か

雲に接近・突入した可能性

 航空自衛隊曲技飛行チーム「ブルーインパルス」が東京オリンピック開会日の7月23日に行った飛行について、航空法違反だった可能性が航空専門家から指摘されています。同法は視界不良での有視界飛行を禁じており、雲との一定の距離をとるよう定めていますが、ブルーインパルスは当日、発生した雲に接近・突入した可能性があります。


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(写真)わきたつ雲を縫うように飛ぶブルーインパルス。カラースモークが雲と重なっているように見えるところ(○印)も=7月23日午後0時50分ごろ、東京都渋谷区千駄ケ谷から撮影

(拡大図はこちら)

 ブルーインパルスは同日午後0時40分ごろから同55分ごろまで都心上空を飛行。同50分ごろ、空中で旋回してカラースモークで五輪シンボルを描く際には積雲が発生していました。(写真)

視界不良で飛行

 航空法施行規則第5条は、飛行高度が3000メートル以下の管制区域で、操縦士が目視で位置を判断する有視界飛行の場合、飛行条件を▽飛行視程5000メートル以上▽航空機から垂直上方に150メートル、下方に300メートルの範囲内に雲がないこと▽航空機からの水平距離600メートルに雲がないこと―と定め、視界不良での飛行を禁じています。

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(写真)杉江弘さん

 元日本航空パイロットで航空評論家の杉江弘さんは動画投稿で多数の動画を確認し、地上から見上げた航空機が雲に消える複数のシーンに注目しました。「ほぼ水平に飛んでいる航空機が突如、雲に消える。航空機が雲に入っているか、雲との間を規則未満の距離で飛行している可能性が高い。航空法に反する飛行だった疑いがある」と指摘します。

 防衛省航空幕僚監部は本紙の取材に、ブルーインパルスの飛行高度は当初、2500~5000フィート(762~1524メートル)を計画していたものの、「雲の影響を受けたため」、2500~3500フィート(762~1067メートル)に下げたと回答。気象情報会社「ウェザーニュース社」の配信記事によると、23日の東京都心は積雲が発達しやすく雲底は1000メートル前後になると予報していました。航空機と雲が近かった可能性があります。

 一方、空幕は、機体が雲に接近・突入した可能性については否定。「有視界飛行方式を維持して飛行していた」と回答しました。

過去の墜落事故

 杉江さんは「五輪の輪を描く地点にこだわったために予想に反してわき出した雲の中を飛ぶことになったのではないか。民間機なら一時的にでも雲の中を有視界飛行すれば審査は一発で不合格だ。過去にブルーインパルスは墜落事故を多々起こしている。今回の気象条件であれば、都心の中心部を避けるか、飛行を中止すべきだった」と訴えます。

 ブルーインパルスは1961年、65年、82年、91年、2000年に墜落し、14年に2機が接触、緊急着陸しています。


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