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2021年7月19日(月)

濃厚接触でも競技参加可の五輪特例

命のバクチ

実効性不透明 保健所職員は感染拡大懸念

 新型コロナウイルス感染者の濃厚接触者となった東京五輪の選手が競技に参加できるという特例措置を、政府、大会組織委員会が決めました。特例措置は、従来の国内ルールを大幅に緩和しています。その詳細が分かってきました。(五輪問題取材班)


 組織委と内閣官房は15日に都道府県などの保健所に「濃厚接触となったアスリート等の取扱い」という文書を送りました。組織委は文書を公表していませんが、日本共産党の田村智子副委員長(参院議員)が内閣官房から独自に提出をうけました。

 この文書は、一定の条件を満たせば、試合や練習を行うことができるとしています。その条件とは▽毎日PCR検査を受ける▽個室で宿泊する▽試合、練習を除き外出は禁止▽食事は自室▽試合開始の6時間前にPCR検査を受け陰性となること―などです。

 都内のある保健所職員は「安全ではないと思う。濃厚接触者のアスリートが活動すると感染が広まるおそれがある」といいます。

 他方で一般の市民が濃厚接触者になると、感染者と接触があった日の翌日から14日間の自宅待機を保健所から求められます。

 この職員は指摘します。「扱いが異なる二重基準になると、国民は疑問を持ちますし、納得できないでしょう。アスリートも不安なのではないか」

 五輪選手向けの特例措置は実効性があるのか―。

 選手村は、マンションの一部屋をボードで区切り、1人部屋または2人部屋としています。風呂、洗面台など水回りは「共用」です。本当に他の選手と接触しないようにできるのか、食事は誰が運ぶのか…。文書が示す“対策”が実際にできるのか不透明です。

 また6時間前に検査で陰性だから「安全」というわけではありません。本当は感染しているのに検査で陰性になる「偽陰性」の場合もあります。濃厚接触者に競技に参加させることは、“バクチ”といえます。

 濃厚接触者を試合などに出場させる判断を下すのは、保健所ではなく「大会主催者がその最終責任を負う」となっています。主催者自身が判断することになり、科学性や公正性にも疑問が出てきます。


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