2021年7月9日(金)
コロナ下急増 女性への暴力根絶へ国際会議
男性が役割果たそう
国連機関UNウィメンが主催し、7月2日までパリで開催された国際会議「ジェネレーション(世代)平等フォーラム」では、コロナ禍で急増した女性への暴力の根絶が議論されました。問題に取り組む各分野のリーダーたちは、男性や少年が果たすべき役割があると強調しました。
女性への暴力には、身体的・精神的暴力、DV、フェミサイド(女性を標的にした殺人)、人身売買、児童婚、女性器切除(FGM)が含まれます。新型コロナウイルス感染拡大のなか、これらの暴力は急増し、各国での深刻さは「国家非常事態」(グテレス事務総長)とも指摘されています。
ラグビーの南アフリカ男子代表チーム主将のシヤ・コリシ氏は、「わが息子や兄弟たちに、どう生きるかと語るだけでなく、どのように生きるかを示したい」と表明。男性がジェンダー不平等の是正に動いてこそ「私の娘が安全だと感じることができる」と語りました。
ガンビアの女性権利活動家でUNウィメン・地域親善大使を務めるジャハ・ドゥクレ氏は、「女性への暴力の停止は地球規模の全ての人間の課題だ。男性たちも責任を負う」と述べ、男性の特権や男性優位主義に男性自らが異議を唱えるよう呼びかけました。
アイスランドのグズニ・ヨハネソン大統領は、「男性と女性の力の不均衡が是正されたら社会がどう変わるか、われわれは(アイスランドで)目の当たりにしてきた。同様の前進を世界で目にしたい」と語りました。
会議では、警察活動においてジェンダーに配慮する重要性が議論されました。男性警官が被害女性を責め、屈辱を味わわせるような傾向があることから、女性が警察に通報するのは世界では10人に1人とされます。
国際NGO「ノーモア」のパメラ・ザバラ事務局長は、「DVや性暴力は犯罪であり、これらの犯罪は重いとすべての対応で示すのがジェンダーに配慮した警察活動だ」と説明し、女性への暴力を許さない警察活動の必要性を指摘しました。
(鎌塚由美)