2021年7月8日(木)
先住民出身女性が要職に
カナダ 総督に初就任
「和解への重要な一歩」と意欲
【ワシントン=島田峰隆】カナダのトルドー首相は6日、同国の総督に先住民出身の元外交官メアリー・サイモン氏が任命されたと発表しました。カナダの総督に先住民出身者が就任するのは初めてです。
カナダは、旧英領諸国で構成する英連邦に属し、国家元首は英国王です。カナダの総督は、英国王がカナダ国王として任務を行う際の代理です。首相の推薦に基づいて、英国王が任命します。
サイモン氏はケベック州北東部出身の先住民。デンマーク大使のほか、先住民族イヌイットの全国組織の議長を務めました。
カナダでは最近、政府の先住民同化政策の一環として設置された寄宿学校の跡地から子どもの遺骨や墓標のない墓が次々と見つかっています。先住民団体は、先住民族の悲劇、懸念や要求を代表できる人物として、サイモン氏の任命を歓迎しました。
サイモン氏は6日、「カナダの歴史において、とりわけ内省し、行動する時期に任命された」と指摘。「私が任命されたことは、カナダにとって歴史的で、感情を揺さぶる出来事だ。和解への長い道のりの重要な一歩を前に進めるものだ」と意欲を示しました。
トルドー氏は「カナダは歴史的な一歩を進めた」と強調。「われわれはサイモン氏のような指導者を要職にもっと就ける必要がある。現実の課題に取り組み、前向きな変化を生み出す指導者たちだ」と語りました。
前任者のジュリー・ペイエット総督は今年1月、部下へのパワハラ疑惑を受けて辞任していました。