2021年7月1日(木)
香港国安法 人権の緊急事態
アムネスティが改善求める
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは30日、香港で国家安全維持法(国安法)が施行されて1年が経過したことを受け、同法の運用状況をまとめた報告書を発表しました。国安法が「人権上の緊急事態」を引き起こしているとして、中国政府や香港当局、国連に改善に向けた取り組みを求めました。
報告書は裁判の判決や審問の記録、国安法の標的とされた活動家らとのインタビューに基づいています。表現の自由、集会の自由を行使した市民に、当局が「国家の安全を脅かす」とのあいまいな口実で検閲や嫌がらせ、逮捕、訴追を進めており、「国安法が広範な人権侵害を行うために利用されている」と結論付けています。
23日時点で、国安法を理由に118人以上に逮捕もしくは逮捕命令が出され、64人が起訴、そのうち47人は依然、公判前勾留の状態にあるとしています。
アムネスティ・インターナショナルのアジア太平洋地域責任者、ヤミニ・ミシュラ氏は「国安法1年で、香港は急速に警察国家と化し、市民にとって人権上の緊急事態を引き起こしている」と指摘。「この広範な抑圧立法は最終的に、香港を中国本土と同様の人権上の荒野にしてしまう恐れがある」と警告しました。