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2021年6月25日(金)

主張

夫婦同姓の「合憲」

法改正の責任を果たす国会に

 最高裁大法廷は23日、夫婦同姓を義務としている民法と戸籍法の規定を「憲法に違反しない」と判断しました。選択的夫婦別姓を求める世論の広がりにもかかわらず、2015年の最高裁判決で「合憲」とした判断を、再び踏襲したことは重大です。日本共産党は、選択的夫婦別姓導入を強く求めてきた党として、旧態依然とした司法判断に対し強く抗議します。同時に最高裁は、国会での立法による解決を促しています。立法府としての責任を果たす国会にしていくことが不可欠となっています。

選択的別姓は国民の願い

 今回の決定は、都内の3組の事実婚カップルの申し立てについて出されました。3組のカップルは、夫婦同姓を求める規定は「法の下の平等」を保障する憲法14条と、「婚姻の自由」を定めた同24条に反すると訴えていました。大法廷は、これらを「合憲」とする一方、14条違反(信条による差別)とした申立人の訴えについては、実質判断を避けました。

 大法廷の15人の裁判官のうち4人が「違憲」と判断したことは、注目されます。違憲とする意見では、氏名は個人として尊重される基礎であり、個人の人格の象徴だと明確に指摘しました。婚姻の際にどちらかに改姓を強制する現行制度は、以前の自分が消えるような喪失感を与えるものであり、個人の尊厳を守る立場とは相いれないことを浮き彫りにしました。

 また、夫婦同姓を受け入れない限り結婚の意思を法的に認めないという制約は、婚姻は両当事者の合意のみに基づいて成立すると定めた24条に反する不当な国家介入にあたるという主張も示されました。夫婦同姓の規定により改姓するのは、現在でも96%が女性であり、24条の両性の平等の達成を阻害する一要因ともなっています。姓を変えることによって社会生活を送る上で被る多くの不便・不利益を解消することは当然です。

 家族の在り方は多様化しており、夫婦同姓の例外を許さず、別姓の選択肢を設けていないことは24条に反するという意見も表明されました。夫婦・家族のかたちはさまざまであることを承認し、個人の選択に寛容な社会をつくっていくことが急務なのは明らかです。

 選択的夫婦別姓制度の導入に賛成は、国民世論の7割以上に広がっています。夫婦同姓を義務付けている国は、世界で日本だけです。国連女性差別撤廃委員会からも、再三の是正勧告を受けています。

 先の通常国会では、選択的夫婦別姓導入を求める質疑が活発に行われ、過去最多の150人に上る国会議員が導入の請願署名の紹介議員となりました。意見書を可決した地方議会は、15年の最高裁判決以降、約170にのぼります。

重みを増す総選挙の審判

 夫婦同姓の強制は、戦前の家制度の名残です。1996年には法務省の法制審議会が、選択的夫婦別姓制度の導入を含む民法の改正を答申しています。しかし、自民党を中心に、古い価値観に固執する一部の勢力が変化を拒み続け、今に至るまで法改正の実現を阻んでいるのです。多様性への敵視を温存し続ける政党・政治勢力の姿勢が厳しく問われます。

 来たる総選挙で、個人の尊厳を守り、ジェンダー平等を進める野党連合政権を実現することが、いよいよ重要となっています。


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