2021年6月25日(金)
リンゴ日報 最後の朝刊
100万部に市民が長蛇の列
香港
【北京=小林拓也】香港国家安全維持法(国安法)のもとで弾圧を受け、停刊に追い込まれた民主派寄りの香港紙・蘋果(ひんか)日報(リンゴ日報)は24日付の最後の朝刊を発行し、26年間の歴史に幕を閉じました。23日でウェブサイトの運営も停止。政権批判や市民の立場に立った報道を貫いた同紙の停刊は、香港の言論・報道の自由にとって大きな打撃です。
香港メディアによると、23日夜は同紙のオフィスビル前に数百人の市民が集まり、スマートフォンのライトを振りながら、「ありがとう、蘋果日報」と声援を送りました。「捲土(けんど)重来だ」「また会おう」と叫ぶ市民もいました。24日付同紙の1面トップには、集まった市民の写真を掲載し、「香港人、雨の中のつらい別れ 『蘋果を支持する』」との見出しを大きく掲げました。
24日付朝刊は通常の10倍以上に当たる100万部を発行。同日未明から各地の販売所には同紙を買い求める市民の長蛇の列ができました。
10部購入したある市民は香港メディアに、「蘋果日報が消え、社会から一つの声が消えた。政府への批判でも支持でも、社会には多様な声が必要だ」と語りました。