2021年6月10日(木)
特定商取引法改定案 大門氏の反対討論
参院本会議
日本共産党の大門実紀史議員が9日の参院本会議で行った特定商取引法改定案への反対討論(要旨)は次の通りです。
書面交付の電子化を除けば、大変いい改正です。ジャパンライフなど悪質な事件を引き起こしてきた預託商法の原則禁止や、一方的に商品を送りつけ代金を請求する「送り付け商法」の規制など、消費者保護に資するさまざまな改正が含まれています。これらは、悪徳業者とたたかってきた消費生活相談員や弁護士など現場の方々が強く要望してきたものです。
ところが昨年末、消費者保護よりも、デジタル戦略をかかげる菅首相に迎合しようとした井上大臣の独断で、書面交付の電子化が盛り込まれました。これは、被害を拡大するマイナスの改定です。
ジャパンライフ事件では、契約書が紙であることで被害が発覚したり、紙が残っていたことで裁判に訴えることもできたのです。
井上大臣、あなたの誤った独断が現場の反発を招き、消費者庁の信頼を地に落とす結果となりました。
しかも井上大臣の答弁には三つのごまかしがありました。
第一は、「書面の電子化は消費者の利便性の向上のためだ」と繰り返したことです。しかし、被害の多い訪問販売などで利便性など高まっては困るのです。
第二は、書面の電子化は、内閣府の規制改革推進室の事務方から求められたとの答弁です。規制改革推進室の参考人は「想定していなかった書面の電子化を消費者庁から積極的に提案してきた」と答えています。自分から言いだしたことを他省庁の事務方の責任にするなど、みっともないと思いませんか。
第三は、第三者機関である消費者委員会からお墨付きを得たような答弁を繰り返したことです。消費者委では反対、慎重な意見が多数を占めました。しかし、「電子化を前提にした建議を出すべきだ」と誘導したのは消費者庁から送り込まれた事務局長でした。
消費者庁は政省令で被害防止の措置を検討することになりました。焦点は、書面交付を電子化する場合の消費者本人への承諾の取り方でした。私も消費者庁の相談にのり、承諾のどこかの段階で書面・紙を介在させること、家族など第三者の関与が必要だと提案しました。これらは今後の検討が確認されました。
被害防止策の具体化は、今後の検討に委ねられており、現段階で被害を防げる保証はありません。この法案に賛成できません。
現場の方々の願いは、書面交付の電子化部分を削除して、それ以外の法改正を全会一致で成立させることです。このことを強く求めて反対討論とします。