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2021年6月5日(土)

店舗で働く女性 配送センター男性 同一賃金を

EU司法裁が判断

英最大手スーパー 労働者の訴え実る

 欧州連合(EU)の最高司法機関、EU司法裁判所は3日、英最大手スーパー「テスコ」の店舗で働く女性社員が、配送センターで働く男性社員よりも賃金が低いのは不当でありEU法違反だと訴えていた裁判で、EU条約の男女同一賃金の規定が両者の賃金に対して直接適用されるとの判断を示しました。(伊藤寿庸)


 テスコの店舗で働く現・元社員約6000人(ほとんどが女性)は2018年2月、同社の配送センターで働く社員(ほとんどが男性)より賃金が低いのは、英国およびEU法違反だとして、ロンドン郊外の雇用審判所に訴えを起こしていました。今後、労働審判所がEU司法裁の判決を考慮して審理を行うことになります。

 テスコは、配送センターと店舗とでは、労働者に異なる技能が求められるとして、男女の賃金差別ではない、と主張していましたが、退けられた形です。

 英国最高裁は3月、英スーパーASDAの店舗労働者と配送センター労働者とが同一賃金の適用対象となるとの判断を出しており、今回のEU司法裁の判断は、スーパーで働く女性の低賃金労働を克服し、男女同一賃金を目指す運動にとって、大きな前進となりました。

 テスコで働くジェンキンスさんは、英BBC放送に対し「店舗労働者が、配送センターの男性の同僚と、(仕事の同等性を)法的に比較できるということを確認した判決は、励みになる」「テスコは店舗労働者の貢献度を認めて、賃金に反映させてほしい」と語りました。

 英紙デーリー・ミラーは、英国の大手スーパー4社で現在働く労働者は58万4000人で、これに元労働者を加えると、女性の低賃金を補償するために支払われる額は100億ポンド(1兆5500億円円)に達する可能性があると報じました。

 EU条約は、同一労働・同一価値労働に対して、男女の賃金差別の撤廃を定めています。英国は、EU離脱後の移行期間が昨年末に終了しましたが、それ以前にEU司法裁に判断を仰いだ案件については、引き続きEU司法裁が管轄権を持つことが、離脱条約で定められています。


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