2021年6月5日(土)
消費税インボイス 中小業者つぶしだ
全商連など 延期・中止を要求
総選挙へ反対の共同広く
|
消費税のインボイス(適格請求書)制度の事業者登録を10月に控え全国商工団体連合会などが呼びかけて4日、同制度の延期・中止を求める集会を衆院第1議員会館で開き、オンライン配信しました。
取引における消費税額を示すインボイス導入では、売上高1000万円以下の消費税免税業者も課税業者になるよう迫られます。ならなければ取引から排除される恐れがあり、全国500万者のうち160万者が新たに課税業者になるとみられます。
呼びかけ人あいさつで、ジャーナリストの斎藤貴男氏は「インボイスが導入されれば、中小業者が淘汰(とうた)される。絶対に許せない」と話しました。
元静岡大教授の湖東京至税理士が講演。「個人タクシーや運送・建設の下請け業者、文化・芸術関係者など、課税業者にならざるをえない業種は多岐にわたる。さまざまな団体も反対しており、延期・中止に向けて声をあげよう」と訴えました。
共産、立民、自民党の議員が参加。共産党の清水忠史衆院議員は「コロナ禍のなか、中小業者にさらなる負担増を強いるなど許されない。力を合わせて食い止めよう」と呼びかけました。
全商連の中山眞常任理事が、インボイスの実施中止を求める請願署名や、政党・議員への働きかけを強めることを提起しました。
各団体が訴え
農民運動全国連合会(農民連)の吉川利明事務局長は、販売農家全体の約9割が免税事業者であり、「免税農家が取引から排除される。課税事業者になれば赤字でも税負担を求められる。総選挙に向け、インボイス制度廃止一点での共同を呼びかけていこう」と訴えました。
建交労軽貨物ユニオン神奈川ダンプ支部の高橋英晴さんは「高齢化が進むダンプ労働者が課税事業者になれば負荷がかかり廃業になってしまう」と指摘。「インフラを支えている人々が市場から排除されないよう、制度の導入を何としても止めなければならない」と呼びかけました。
日本エンターテイメント連盟の風間友季恵関東支部長は、同連盟の白井博之代表理事のあいさつを代読する形で発言。「コロナ禍で文化・芸術業界では廃業や倒産に追い込まれている事業者が後を絶たない」と指摘。「宣言下で正当な協力金をもらえていない中、さらなる納税義務が生じるのは断じて許されない」と訴えました。
京都個人タクシー互助協同組合の洲見雅義理事長は「コロナ禍で1日走っても3000円から5000円しか入らない日がある。その中で制度を導入しようというのはひどい」と批判。「制度の導入を阻止し、消費税の廃止にむけて連帯していこう」と呼びかけました。
全国建設労働組合総連合(全建総連)東京都連合会の宮本英典書記長は、一人親方や免税業者が取引先から排除され、「仕事や生活を営む上で困難が生じる」と指摘。「制度の導入を中止し、あらゆる団体が力を合わせて、街宣活動などをしっかりと行っていきたい」と訴えました。