しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2021年5月29日(土)

主張

緊急事態再延長

誤りを認め命優先へ転換せよ

 菅義偉政権は9都道府県に出していたコロナ対応の緊急事態宣言を6月20日まで再延長することを決めました。4月25日に始まった3度目の宣言が2カ月近くに及ぶことになります。昨年来、政府は緊急事態宣言を出しては延長し、解除してはリバウンドを招いて再び宣言を発することを繰り返してきました。やるべきことをしてこなかった結果です。菅政権は対策の誤りを認め命と暮らしを守る姿勢へ転換しなければなりません。

封じ込めを戦略目標に

 新規感染者数は東京都、大阪府などで若干減っているとはいえ高い水準で推移しています。重症者数が増え、医療提供体制がひっ迫の度を強めています。現場では「命の選別をせざるをえなくなっている」と悲痛な声があがっています。「短期集中」といって始めた今回の緊急事態宣言を2度も延長することになったのは菅政権の大失政にほかなりません。

 ワクチン接種、検査、医療機関支援、補償のどれをとっても菅政権の対応はまったく不十分です。逆に「Go To」事業を強行して感染拡大を招きました。菅首相はこの無為無策を反省しようとしません。何よりも感染を封じ込める戦略を政府がいまだに持っていないことが国民を先の見えない不安に陥れています。まずは、コロナ封じ込めに向けた国の戦略を国民にはっきりと示すべきです。

 ワクチン接種は世界的に大きく立ち遅れました。安全・迅速な接種が急務です。政府が実態に即した工程を示し自治体を支援することが重要です。国は裏付けのない目標期日を上から押し付けて混乱させてはなりません。

 感染拡大の予兆をつかむモニタリング検査は1日1万件の政府目標に対して直近でも約5300件しか実施されていません。大規模な拡充への転換が必要です。すべての医療機関の減収を補填(ほてん)することも必須です。

 営業自粛や時短で苦しむ中小業者への支援は実態に合っていません。民間信用調査会社によると、2020年の居酒屋・ビアホールの倒産は過去最多です。多くの事業者は運転資金を取り崩して耐えています。わずかな協力金で店を存続させることはもう限界です。打撃を受けているすべての中小企業、個人事業主、労働者への十分な補償と生活支援は急を要します。持続化給付金、家賃支援給付金の再支給も不可欠です。

 菅政権は今夏の東京オリンピック・パラリンピックを強行する姿勢を変えません。五輪に固執する姿勢をやめなければコロナ対策への国民の協力は得られません。

今夏の五輪は中止が当然

 国際オリンピック委員会(IOC)の幹部から「緊急事態宣言のもとでも開催する」「菅首相が中止を求めても、大会は開催される」と常軌を逸した発言が続出しています。日本国民の命を何とも思わない人たちに五輪を主催する資格はありません。今夏の五輪開催中止は日本国民多数の世論です。

 五輪憲章の根本原則は「人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てる」ことです。開催国も世界もコロナで苦しんでいる時に感染拡大のリスクをおかして行うべきでないことは憲章に照らして明確です。IOC幹部の発言に抗議しないのであれば菅氏は主権国家としての首相の資格が問われます。


pageup