2021年5月28日(金)
石油大手にCO2削減命令 オランダ地裁
30年までに19年比45%減
環境団体「歴史的判決」
【ベルリン=桑野白馬】オランダのハーグ地方裁判所は26日、英・オランダ石油大手のロイヤル・ダッチ・シェルに対し、二酸化炭素(CO2)の純排出量を2030年までに19年比で45%削減するよう命じました。オランダの環境団体が、温室効果ガス削減の目標が不十分だとしてシェルを相手に起こした訴訟で、勝訴した環境団体側は歴史的な判決だとして歓迎しました。
シェルは今年2月、従来の目標を引き上げ、CO2の純排出量を30年までに16年比で20%、35年までに45%減らし、50年までに「実質ゼロ」とすると表明しました。しかし裁判所は、目標が「具体性に乏しい」とし、不十分だと判断。気候変動に関する社会的責任を果たし、削減を急ぐよう求めました。
今回の訴訟は、環境団体「グリーンピース」や「地球の友」(FoE)オランダ支部が、19年に市民1万7000人を代表して起こしました。FoEのディレクター、ドナルド・ポルズ氏はロイター通信に対し「気候変動の影響を受けているすべての人にとって大きな勝利だ」と強調。環境保護団体が大手エネルギー企業に戦略の変更を迫って裁判所に訴えた初めてのケースでもあり、「歴史的だ」と付け加えました。
シェル側はこの判決を不服として控訴する方針です。