2021年5月24日(月)
ガザ 1万6000戸に損害 7万4000人超避難
「帰る場所ない」「再建には数年」
【カイロ=秋山豊】イスラエル軍が11日間続けた空爆で、大規模に破壊されたパレスチナ自治区ガザ。国連の人権専門家らによると、ガザの住民7万4000人以上が家を追われ、そのほとんどが女性と子どもです。
多くの住民が、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が運営する学校に避難しました。本紙の取材に応じたホッサム・シャーバンさん(30)もそのひとりです。「自宅が空爆されて帰る場所がない。幼い子どもが3人いる。どうすればいいのか」と嘆きました。
ガザ当局によると、空爆で住宅約1万6000戸が損害を受け、うち約1800戸は住むことができなくなりました。約25万人に飲料水を供給する脱塩浄水施設や医療施設も被害を受けました。
経済では工業分野に約4000万ドル(約43億円)、エネルギー分野に約2200万ドル(約24億円)、農業分野に2700万ドル(約29億円)の損害が出ました。
停戦を仲介したエジプトは、ガザの再建に5億ドル(約545億円)を割り当てると述べています。米国も再建への取り組みに支援するとしています。
ガザはイスラエルに封鎖され、人や物の出入りが厳しく制限されています。ガザは2014年にもイスラエルの軍事侵攻で大規模に破壊されましたが、封鎖によって再建は進みませんでした。
赤十字国際委員会のファブリツィオ・カルボーニ中東事業局長は声明で、「2週間足らずでもたらされた損害から再建するのに数十年とは言わないまでも数年はかかるだろう」と述べています。