2021年5月17日(月)
メディア建物も空爆
イスラエル軍 国連総長が批判
【カイロ=秋山豊、ワシントン=島田峰隆】パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスと戦闘を続けているイスラエル軍は15日、ガザにある米AP通信やカタールの衛星テレビ局アルジャジーラなどの報道機関が入る建物を空爆し、「ハマスが隠れていた」と述べて正当化しました。
国連のグテレス事務総長は報道官を通じて「深く困惑している」と表明し、「メディアや民間人を無差別に標的とするのは国際法違反だ」と批判しました。
イスラエルメディアなどによると、このビルのオーナーが空爆の前にイスラエル側から警告を受けていて、建物内の人びとは退避していました。パレスチナ人ジャーナリストが負傷しています。
イスラエル軍は破壊した建物について「ハマスがメディアに隠れ、人間の盾として使っていた。ハマスは民間人が多くいる場所に意図的に軍事資産を置く」と述べました。
AP通信のプルイット社長兼最高経営責任者(CEO)は声明で「衝撃を受け、恐怖を感じている」と強調。「きょうの出来事によって、ガザで何が起きているのか、世界は一層知りにくくなるだろう」と批判しました。
アルジャジーラのムスタファ・スアグ会長代行は、「現場の出来事を報道し世界に伝える使命を打ち切る行為だ」と批判。「あからさまな人権侵害であり、国際的には戦争犯罪と考えられる」と指摘しました。