2021年5月11日(火)
子の姓も男女平等へ
チリ 姓選択容認法を公布
父親が先→母親が先でもOKに
南米チリで9日、父親の姓を優先する現状の姓制度を男女平等に変更する「姓選択容認」法が、ピニェラ大統領の署名を経て公布されました。
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現地からの報道によると、署名式は9日の「母の日」に合わせて行われ、サラケット女性・ジェンダー平等相は、同法を「男女平等の分野で前進だ」と強調しました。
チリを含め、スペイン語を公用語とする中南米諸国は、夫婦別姓制度をとっていますが、子どもの出生登録では一般的に、先に父親の姓、次に母親の姓という順になっています。今回の法改定によって、子どもの両親が合意すれば、母親の姓を先にすることが可能となります。
サラケット女性相は、制度変更の意味を「選択の自由を認めるもの」であり、改定法は「母親の姓を先に記すことを認め」、「家庭内の女性の重要な役割をたたえることに役立つものとなる」と説明しました。
今回の法改定は、広く定着した慣習・制度を大きく変更するもの。署名式に出席したラライン法務・人権相は、「子どもに対する父母の平等な役割を正当に扱うという巨大な文化的変革につながる」と指摘しました。
法改定は、さらに18歳以上の成人が自分の意思で現在の姓を変更することを、1回に限り認めます。DV被害を避けるためなど、正当な理由がある場合も変更できます。性犯罪歴がある場合は、一切の姓変更が認められません。
姓選択容認法案は2005年に初めて国会に提出されました。16年間法案審議は停滞していましたが、ジェンダー平等の国民意識が高まる中で今年4月29日、賛成多数で可決されました。