2021年4月22日(木)
沖縄戦の県民犠牲を美化
教科書検定に抗議
市民団体
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「9・29県民大会決議を実現させる会」は21日、沖縄県庁で記者会見し、文部科学省が先月30日に公表した教科書検定の結果で、沖縄戦で県民に犠牲を強いたことを美化するような記述をした歴史教科書が合格したことなどに抗議する声明を発表しました。
合格した教科書の中には、沖縄戦について「日本軍はよく戦い、沖縄住民もよく協力しました」との記述や、「集団自決(強制集団死)」と日本兵による「住民虐殺」については全く触れていないものがあります。
鉄血勤皇隊に動員された旧制沖縄県立第一中学校の生徒を追悼する「一中健児之塔」を「顕彰碑」、「ひめゆり学徒隊」を「ひめゆり部隊」と記し、戦死を美化・英雄視する不適切な記述をしていたものもありました。
同会は、高校歴史教科書の沖縄戦の記述で軍命による「集団自決」が削除・修正されたことに対し、撤回を求めた11万人の県民大会(2007年9月29日)の主催者らで構成されています。
声明は「沖縄戦の実相を歪(ゆが)め、『軍隊は住民を守らない』という沖縄戦最大の教訓から目をそらすもの」だと批判し、真実の確実な記載を求め「声をあげ続ける」と強調。沖縄戦体験者で同会相談役の玉寄哲永さん(86)は「国は歴史認識を改めてもらいたい」と訴えました。