2021年4月6日(火)
ミャンマー少数民族10組織 連邦民主憲章を支持
【ハノイ=井上歩】ミャンマーの和平プロセスに参加する少数民族武装勢力10組織は5日までに、同国の民主派議員らがつくる「連邦議会代表委員会(CRPH)」が提唱した「連邦民主憲章」への支持を表明しました。ミャンマーの独立系メディア「イラワジ」などが伝えました。
10組織はカレン民族同盟(KNU)、シャン州復興評議会(RCSS)など全土停戦協定に署名していた少数民族勢力。国軍のクーデター前は全国和平会議に参加し、新たな連邦国家の制度について政府、軍と協議していました。
アウン・サン・スー・チー氏が率いる国民民主連盟(NLD)議員らがつくるCRPHは先月31日、国軍に特権を与えている2008年憲法の廃止を宣言。暫定政府設置や新憲法制定などのプロセスを踏み、軍事独裁体制に代わる民主連邦国家をつくるとする「憲章」を発表し、賛同を呼びかけました。
地元メディアによると、10組織は3日にオンライン会合を開催。CRPHの取り組みと憲章の内容への支持を確認しました。RCSSの代表は「イラワジ」に、「10勢力のグループは、平和的なデモで国軍のクーデターに反対し、独裁の終えんと民主連邦国家の設立を求めるあらゆる人々と固く連帯する」とのべました。
10組織は2月、クーデターを受けて国軍との対話を停止。3日の会合後、国軍に対して、残虐行為の停止と拘束者の即時解放を要求すると改めて表明しました。公務員らの不服従運動(CDM)も支持しています。
ミャンマーでは国軍がデモ隊に実弾を発砲し、1日で100人以上の市民を殺害した3月下旬ごろから、少数民族支配地域での内戦も再燃。東部カイン(カレン)州で国軍基地を奪取したKNUに対し、国軍が拠点地域を繰り返し空爆しました。KNUは、空爆で民間人に多数の死者が出ており、1万2000人が隣国タイなどへの避難を余儀なくされたと発表しています。
地元メディアによると、北部カチン州でもこの間カチン独立軍(KIA)と国軍との戦闘が続いています。KIAは全土停戦協定に応じていない勢力で、ほかにもワ州連合軍(UWSA)など10前後の非署名勢力があるとされています。