2021年3月30日(火)
「新・人間裁判」に不当判決
生活保護費引き下げ 違憲認めず
札幌地裁
|
国が2013年8月から開始した生活保護費引き下げは生存権を保障した憲法25条に違反すると、北海道の生活保護利用者153人(原告20人死亡)が国を相手取った「生活保護基準引き下げ違憲訴訟」(新・人間裁判)判決が29日、札幌地裁でありました。武部知子裁判長は、請求をすべて棄却する不当判決を出しました。
「不当判決」「司法の責任を放棄」の手持ち旗が地裁前に掲げられると、支援者から「ええーっ」と怒りと落胆の声が上がりました。
武部裁判長は「生活扶助基準の改定で、厚生労働相に裁量権の逸脱があったとは言えない」と断じ、原告らが「社会的、文化的面から見ても、最低限度の水準を下回っていると認められない」と、切り下げに苦しむ利用者に背を向けました。
後藤昭治原告団長は「ここからです。私は高裁、最高裁と死ぬまでたたかい抜きます」と力を込めました。
国が3回にわたって平均6・5%、最大10%引き下げを強行し、全国29地裁で1000人余の原告が訴えている集団訴訟。北海道は愛知、大阪に続く3例目で、処分は違法とした大阪地裁判決と判断が分かれました。
日本共産党の、はたやま和也前衆院議員が駆け付け、不当判決に怒り、共にたたかうと決意を交わしました。
健康・文化的生活保障こそ
原告団弁護団 抗議の声明
札幌地裁の不当判決を受けて、「新・人間裁判」の原告団・弁護団は29日、抗議声明を発表しました。
声明は、判決が道や札幌市などの被告の主張を丸のみして厚生労働相の「裁量」を認めた上、原告側の主張を検討することなく、処分に裁量の逸脱・乱用があったとは言えないと断定。原告らの生存権侵害を認めなかったことは、裁判所が原告らの厳しい生活実態に真摯(しんし)に向き合わなかった結果だと批判しています。
生活保護費の10%削減という自民党の政権公約を実現する目的で行った引き下げを安易に追認した判決は、行政を追認して司法の役割を放棄したものに等しく、到底容認できるものではないと厳しく指摘しています。
国と被告が生活保護基準を引き下げられたすべての生活保護利用者に真摯に謝罪し、引き下げ前の保護基準に戻し、生活保護利用者の健康で文化的な生活を保障するまで断固たたかい抜くと表明しています。