2021年3月28日(日)
主張
21年度予算の成立
国民の苦難の打開には程遠い
2021年度政府予算が参院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立しました。新型コロナへの対策は全く不十分で、国民の命と健康、暮らしを守るには程遠い予算です。日本共産党など野党は抜本的な組み替えを繰り返し要求しました。その提起を真剣に受け止めず、問題だらけの予算を成立させた菅義偉政権の責任が厳しく問われます。
感染再拡大への対策急務
菅政権は首都圏1都3県に出していた緊急事態宣言を3月21日で解除しました。ところが、感染の広がりはおさまらず、地方によっては急拡大しています。「第4波」をなんとしても抑え込む対策を講じることが緊急課題です。
しかし、21年度予算では、検査・医療体制の拡充でも、国民の暮らし支援でも、具体策がほとんど盛り込まれていません。一般会計総額106兆6097億円の最大規模の予算の中でコロナ対策は、5兆円の予備費以外にないに等しい状況です。このままでは、またも後手に回る危険が大です。
変異株への対処をはじめ依然として立ち遅れている検査の大幅な拡大へ向けた戦略を持つことが急務です。コロナで苦闘する医療機関への減収補填(ほてん)も待ったなしです。緊急事態解除後も引き続き営業時間短縮が求められる飲食業者らを支えるための支援を強めなければ実効性のある感染抑止策にはつながりません。思い切った財政措置に踏み切る時です。
コロナ禍で日本の医療体制の弱さが浮き彫りになったにもかかわらず、21年度予算では社会保障費の自然増を1300億円も削減しました。菅政権は「高齢者医療費2倍化法案」などの今国会成立も狙っています。医療の安全・安心を揺るがす逆行に他なりません。
軍事費は9年連続で増額し、過去最大の5兆3422億円です。暮らしを置き去りにし、新型イージス艦取得や長距離巡航ミサイル開発などに力を注ぐことは異常です。マイナンバーカード普及促進やデジタル庁創設など不要不急の予算に固執した姿勢は重大です。
国民生活応援に大きな効果がある消費税減税に背を向けたことは大問題です。度重なる税率引き上げで、いまや消費税は法人税や所得税を抜き全ての税収の中で最大です。国民の負担を軽減するために消費税を5%にすることが急務です。大もうけしている大企業や富裕層に応分の負担を求め、税のゆがみをただす必要があります。世界的なコロナまん延のもと、日本の消費税にあたる付加価値税の減税を実施する国が相次いでいます。菅政権は検討すべきです。
大本から政治切り替える
接待で行政がゆがめられた疑惑の解明は不可欠です。「しんぶん赤旗」は、文部科学省の副大臣や事務次官らが宮崎県の学校法人から接待された疑惑をスクープしました。首相の長男・正剛氏が勤務する東北新社やNTTによる総務省接待疑惑、アキタフーズにかかわる農林水産省で汚職事件・接待疑惑とともに国会での究明が急がれます。河井克行元法相夫妻の大型買収事件の全容も明らかにされなければなりません。政府が提出した23法案1条約で誤りが続発した前代未聞の事態も見過ごせません。疑惑にまみれたモラル崩壊の政治を終わらせ、新しい政治に切り替えることが重要です。