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2021年3月25日(木)

主張

河井議員辞職表明

自民党の責任逃れ許されない

 2019年の参院選広島選挙区の大規模買収事件で、公職選挙法違反に問われた河井克行元法相が公判で起訴事実の大半を認め、衆院議員を辞職すると表明しました。妻の案里氏は有罪が確定し、2月に参院議員を辞職しています。同事件では、自民党本部から送金された巨額の選挙資金が買収の原資になった疑いが強まっています。元法相夫妻の事件を「他山の石」(自民党の二階俊博幹事長)とまるで人ごとのように言うことは、当事者としての責任も自覚も欠いた開き直りに他なりません。河井夫妻の議員辞職で幕引きを図ることは許されません。

買収資金の原資の解明を

 元法相は、案里氏への投票の取りまとめの趣旨で、地方議員や首長ら100人に総額約2900万円の現金を配った公選法違反の罪で逮捕・起訴されました。元法相は無罪を主張してきましたが、大多数の地方議員らは買収意図を認識していたなどと証言しました。

 元法相は23日の公判で、現金の提供について「妻の当選を得たいという気持ちが全くなかったとは言えない」と一転して買収だったと認めました。議員を辞めるとも述べました。昨年6月の逮捕以降、辞職を拒み続けた居直りが通用しなくなったことは明白です。河井夫妻はこれまで国民に一切説明してこなかったことを猛省し、洗いざらい事実を語る責任があります。国会招致は不可欠です。

 徹底解明が必要なのは、大規模な買収に使われた資金の出どころです。案里氏の選挙の際、自民党本部は1億5000万円もの資金を提供しました。広島選挙区のもう1人の自民党現職候補の10倍にのぼる破格の額です。その8割にあたる1億2000万円は国民の税金である政党助成金です。

 今年2月の公判では、選挙運動員買収をめぐる現金について「自民党本部から提供された資金が原資だった」と述べた河井陣営の元会計担当者の調書が読み上げられました。疑惑は深まるばかりです。菅義偉首相は書類が検察に押収されていることなどを理由に説明を拒否する不当な態度を改めるべきです。

 当時の安倍晋三政権の関与についての究明も重要です。案里氏の擁立は、安倍氏や官房長官だった菅氏の強力な後押しによるものです。元法相を側近として要職に取り立てたのも「安倍官邸」でした。党本部からの送金前後に安倍氏と元法相が面会を重ねていたことも明らかになっています。安倍氏や菅氏が案里氏の応援演説に入っただけでなく、安倍氏の秘書が選挙の支援活動を行うなど異例のテコ入れをしています。安倍氏、菅氏はもちろん自民党として説明責任を果たさなければなりません。

政権を担う資格問われる

 買収は、民主主義の根幹である選挙を金でゆがめる重大な犯罪行為です。法務行政をつかさどる法相経験者が買収で刑事責任を問われるのは前代未聞です。ことの重大性を認識できない菅首相や自民党は、政権を担う資格そのものが問われます。菅首相に近い吉川貴盛元農林水産相が500万円の現金を受け取り起訴された鶏卵生産会社アキタフーズをめぐる収賄事件も解明されていません。

 疑惑まみれの政治をただすとともに、汚れた政治に代わる新しい政治の実現が急がれます。


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