2021年3月18日(木)
ウーバー運転手に最賃
英労組「正しい方向への一歩」
最高裁判断受け 7万人以上対象
米配車大手のウーバーは16日、英国で同社と契約している運転手7万人以上に最低賃金や有給休暇、年金などの労働者の権利を保障すると発表しました。ロイター通信などが報じました。英紙ガーディアンによると、ナショナルセンターの英労働組合会議(TUC)のオグレディ書記長は、問題点はあるものの「正しい方向への大きな一歩だ。会社が労組を認めれば、TUCは交渉の用意がある」と語りました。
英最高裁が2月に同社の元運転手2人に従業員としての権利を認める判断を示したのを受けたもの。最低賃金の時給8・72ポンド(約1320円)が支払われます。世界ではライドシェア(相乗り)労働者など、単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」の権利や労働条件が問題になっていますが、ウーバーの決定は、他のギグワーカーが働くプラットフォーム会社の労働者待遇にも影響しそうです。
一方、ウーバーが発表した案では、ウーバーは運転手を英国の雇用法に基づく「労働者」として認めるものの、企業の「従業員」としては認めず、税務上は自営業者として扱われます。また、傷病手当、両親としての育休は認めません。客待ちの待機時間は労働時間に含まれないとしています。米欧でウーバーの労働者は、同社のアプリにログイン後は客待ちの労働時間だとして、賃金の支払いを求めています。
今回のウーバーの発表は、譲歩はあるものの米欧での一連の裁判や労働争議の中で、同社が打ち出してきた「妥協案」です。
英国の労組も加わる欧州労連(ETUC)はギグワーカーを完全な従業員にすることを要求しています。英BBCは、客待ちの待機時間を労働時間として認めるかどうかは、労組と会社の間の大きな争点として残っていると評しました。