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2021年3月17日(水)

億万長者資産 141兆円増

富裕層増税で格差是正を

米の研究所が報告書

 バイデン米大統領の署名で成立した総額1・9兆ドル(約207兆円)規模の新型コロナウイルス経済対策法(米国救済計画)をめぐり、ごく一部の富裕層と一般国民の経済格差の是正を求める声が改めて出ています。コロナ禍で国民が苦しむ一方で、この1年間に億万長者が増やした富は、救済計画の3分の2にあたる規模にまで達しているからです。


 新型コロナの感染拡大が始まった昨年3月から今月10日までの1年間に、米国の657人の億万長者は1・3兆ドル(約141兆円)も資産を増やしました。民間団体「税の公平性を求める米国民」(ATF)とシンクタンク「政策研究所」(IPS)が11日に出した報告書で指摘しました。

 これは約3億3100万人の全国民を対象に3900ドル(約42万5000円)の現金給付を行えるだけの額です。救済計画では6割の国民に対し1人あたり1400ドル(約15万3000円)の現金給付となっています。

 米電気自動車メーカー、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の資産は567%増えました。同氏の増加分だけで、救済計画のうち「農民、小規模企業、その他の産業」向け予算と「バーやレストラン」向け予算をまかなうことができます。

 ATFのフランク・クレメンテ事務局長は、億万長者の繁栄ぶりと比べて、「無数の国民にとってこの1年間は病気、失業、不安の年だった」と強調。格差の原因は富裕層減税と税逃れにあるとし、「バイデン氏と議会の民主党は富裕層と大企業に公平に負担させるよう税制改革に目を向けるべきだ」と述べました。

 報告書は、民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員らが1日に提出した、超富裕層を対象とした課税法案に注目しています。最も裕福な10万世帯の資産について、年1~2%課税することなどが内容です。

 ウォーレン氏によると、同法を施行すれば今後10年間、99・95%の世帯に増税することなく少なくとも3兆ドル(約327兆円)の収入増が見込めます。


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