2021年3月16日(火)
ロンドン 帰宅中女性殺害事件
追悼集会強制排除に抗議
【ベルリン=桑野白馬】英ロンドン南部クラパムで3日夜に帰宅途中に行方不明になった女性が遺体で発見され、ロンドン警視庁の現職警官が誘拐と殺人の疑いで訴追された事件を受けて13日、追悼集会が行われました。その際、新型ウイルス対策で集会が規制されていることを理由に、警察が集まった女性たちに手錠をかけるなどして強制排除。この対応に批判が噴出しています。
警察が参加者の女性を組み伏せ連行する様子をとらえた動画や写真がインターネット上に出回ると、14日には英国議会や警察の本部前に数千人が集結。「女性への暴力をやめろ」「守ってくれるはずの人に殺される」と書いたプラカードを掲げ、携帯電話のライトを一斉に点灯させて抗議しました。
労働党のシャーロット・ニコルズ「影の女性・平等担当相」はツイッターで、警察側が「対策を徹底した上で安全な集会実施の支援に力を注いでいれば、ずっと状況はましだっただろう」と投稿しました。
野党、自由民主党のエド・デービー党首はツイッターで「恥ずべき警察の対応」だったと批判し、責任者の辞任を要求しました。
パテル内相は警視庁の対応を調査するよう指示。英BBCによると、ロンドン警視庁のクレシダ・ディック警視総監は事実関係の調査が必要だとして辞任を否定しました。
今年2月には、欧州基本権機関(FRA)が発表した報告書で欧州の16歳から29歳の女性の83%が暴力被害を避けるために行動制限をしていることが明らかになったばかりです。事件後には、英BBCが夜間に一人で出歩く恐怖を語る女性たちの声を特集しました。