2021年3月12日(金)
海外米軍基地 閉鎖せよ
米の学者ら、大統領に書簡
【ワシントン=遠藤誠二】米国内外の超党派の学者、研究者、平和活動家らが10日までに、バイデン大統領、オースティン国防長官に対し、米国と国際的な安全保障改善のために海外の米軍基地の閉鎖を求める書簡を送りました。書簡には、言語学者のノーム・チョムスキー氏や陸軍出身で米外交政策のシンクタンク、クインシー研究所のアンドリュー・バセビッチ会長らが名を連ねています。
書簡は、「長期にわたる時代遅れの前方展開戦略」の結果、米国は現在、80の諸国に約800もの基地を維持していると述べ、「これらの多くは数十年前に閉鎖されるべきだった」と指摘。「不必要な基地を海外に維持することは、ばく大な税金を無駄にし、この国と世界の安全を脅かしている」と断じています。
具体的には、▽国内基地と比べ米兵1人当たり1万~4万ドル(109万~436万円)もの余計な費用がかかり、総計で年間515億ドルもの予算が必要▽技術の進歩で米大陸からの軍事的な緊急対応が可能となり、海外基地は時代遅れになっている▽抑止どころか軍事的な緊張を高める―など9項目の理由をあげています。
10日には、クインシー研究所主催のオンライン討論会が開かれ、米軍の海外駐留撤退を主張するケイトー研究所のグレイザー外交政策部長も参加。アメリカン大学のデービッド・バイン教授は、「バイデン政権は、世界にどう関与するか、外交政策を根本的に転換させる好機にある。政権単独でやる必要はなく、超党派での取り組みが可能であり、外交政策を根本的にリセットすべきだ」と強調しました。