2021年3月4日(木)
ミャンマー 暴力停止を
ASEANが緊急外相会議
【ハノイ=井上歩】東南アジア諸国連合(ASEAN)は2日、緊急の非公式外相会議をオンライン形式で開き、国軍のクーデターへの抗議運動が続くミャンマー情勢について協議しました。加盟各国の発表によると、ミャンマー国軍に暴力の停止と国内での対話を求める意見が各国外相から相次ぎました。
多数の死傷者を生んだミャンマー治安部隊によるデモの武力弾圧について、シンガポールのバラクリシュナン外相は「より良い将来を求めているだけの若者らデモ参加者に致死性の武器を使用したことにゾッとした。いかなる状況でも許されない」と非難。「国軍当局はこれ以上の暴力と流血がないことを誓約すべきだ」と求めました。
マレーシアのヒシャムディン外相は「非武装の市民に対する暴力を抑制」するよう要求。ベトナムのファム・ビン・ミン外相も暴力の回避と市民の安全確保を求めました。
会議後に議長国ブルネイが発表した議長声明には、ASEAN外相が情勢に懸念を表明し、「これ以上の暴力の扇動を差し控え、最大限自制することを呼びかけた」と盛り込まれました。
会議では少なくともインドネシア、シンガポール、フィリピン、マレーシアの4カ国が、クーデターの際に拘束されたアウン・サン・スー・チー国家顧問とウィン・ミン大統領らの解放を要求。国内各当事者間の対話や国連特使の訪問受け入れなどを求めました。
フィリピンのロクシン外相は、民選政権でスー・チー氏が指導的役割を果たす「以前の状態」への復帰を呼びかけ。インドネシアのルトノ外相も民主化プロセスへの復帰を求める立場を伝えました。バラクリシュナン外相が「ミャンマーの将来はミャンマー国民によって決定されるべきだ」とのべるなど、ミャンマー国民の意思と利益に沿って事態の改善を求める意見が共通して出されました。
議長声明によると、ASEAN外相は加盟国の政治的安定が地域の「集団的な平和・安定と繁栄に不可欠」との考えで一致。ミャンマー各当事者に対話を通じた平和的解決の追求を呼びかけ、「積極的、平和的、建設的な形でミャンマーを支援する用意がある」と表明しました。
ASEAN憲章で定める法の支配、立憲政府、民主主義や人権擁護の原則を擁護する立場も改めて確認しました。
会議には、ミャンマー国軍が外相に任命したワナ・マウン・ルウィン氏が出席し、軍事政権側の立場から国内状況を説明しました。