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2021年3月3日(水)

予算組み替え案共同提出の意義 田村智子政策委員長に聞く

協議・共同の集大成

コロナ対策・病院再編・軍事費… 違い前提に一致点へ

 日本共産党と立憲民主党が2日に提出した2021年度予算組み替え案の意義について、日本共産党の田村智子政策委員長に聞きました。


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(写真)インタビューに答える田村智子政策委員長=2日、参院議員会館

 今回、立憲民主党と一緒に組み替え案を提出することができたのは、この1年間、野党が、コロナの問題を中心に、政策的な協議を一緒に行い、政府与党に対して共同して対案を示してきたからです。いわば集大成のように組み替え案を提案できました。

 野党第1党である立憲民主党の提案をもとに協議しましたが事前に政策の違いがあることを前提にしつつ、共産党として政府予算案の問題点、こう変えるべきだということを項目的に立憲民主党に示しました。立憲民主党と政策の違いがあることを前提にしつつ、私たちが予算全体をどう見ているのかを全部出しました。それを踏まえた上で、組み替え案を協議したのです。

 両党が共通して指摘する政府予算案の問題点は、コロナ対策の予算を予備費に全部押し込んでいることです。

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(写真)生活困窮者への特別給付金に関する法案を共同提出する野党議員(1日、国会内)。共同行動の積み重ねが予算組み替え案に実りました

 コロナ対策でやるべきことははっきりしています。直接的な感染症対策である医療への支援の拡充や検査の充実、そして、くらしと事業を守ることは野党がこれまで法案提出を重ねてきたことも生かされています。また新たな提案である「生活困窮者に対する給付金」は、補正予算組み替えを協議したとき、こちらから提案し、本予算の組み替えで盛り込まれたものです。

 画期的なのは「歳出の減」の項目です。

 例えば、「病床削減、病院統合に伴う財政支援」の削減は、公立・公的病院の再編統合方針の撤回を求めるものです。共産党がこの間くりかえし主張していた問題です。軍事費についても削減し、辺野古の新基地建設予算やイージス・システム搭載艦の導入予算も削減しました。マイナンバーカードの普及・利活用の予算も削減を要求しました。

 ある意味で菅政権の目玉の政策で、ミサイル防衛やデジタル化に関わって一致点ができたことは大切だと思います。

 今回の組み替え案では、これまで個々の課題で国民の要求に応える法案を提出してきたことが、今回は、予算全般にわたって組み替え案をまとめ、共同提出する形になりました。野党が政権交代をしていけば、国民のための予算に変えていくことができます。完全に一致はしていない、違いがあるが、こちらは考えも伝えながら、その中でどこが一致できていくのかということを話し合えたということは貴重な経験でした。


日本共産党・立憲民主党の21年度予算の組み替え案 概要

 日本共産党、立憲民主党が2日に提出した2021年度予算組み替え案の概要は次の通りです。

 1.歳出の増(合計36兆円)

 (1)新型コロナウイルス感染症の拡大防止、国民の命と暮らしを守るための予算の確保

 ①病床の確保・医療機関支援(3兆円)

 ・病床・療養施設の確保のため、国がより積極的に関与

 ・収入の減った全ての医療機関への経済的支援(クラスターが発生したことによる減収への支援含む)

 ・医療従事者等への再度の慰労金支給

 ②再燃防止策(封じ込め)の徹底(2兆円)

 ・ワクチン接種体制の整備・充実

 ・医療・介護従事者と、希望するエッセンシャルワーカーへの定期的公費検査実施(自費で検査した後の精算も可とする)

 ・感染者の周辺をより広く無料検査

 ・安価で迅速大量に検査できる機器の普及

 ・ゲノム解析を積極的に行い感染ルートの把握を徹底

 ・保健所の体制強化

 ・出入国管理を徹底

 ・新型コロナの治療薬の創薬支援

 ③暮らしを守る(7兆円)

 ・生活困窮者に対する給付金の支給

 ・特にひとり親など低所得の子育て世帯に対する給付金の支給

 ・ひとり親など職業訓練についての給付金の増額

 ・緊急小口資金・総合支援資金の特例貸付の延長

 ・休業支援金・給付金の6月末までの延長

 ・雇用保険等の特例(給付日数の延長等、求職者支援制度の特例措置)

 ・学生支援(授業料半額免除、奨学金の返還免除)

 ・中小企業新卒就業者等就業支援対策

 ④事業を守る(22兆円)

 ・持続化給付金・家賃支援給付金の再給付、減収要件等の要件緩和

 ・休業協力金・一時支援金の要件緩和、事業規模に応じた支援の実施

 ・無利子無担保融資枠の拡大・延長

 ・雇用調整助成金特例の6月までの延長

 ・地域公共交通機関への支援

 ・事業者コロナ対策新型補助制度の実施

 (2)持続可能な社会の実現、将来に向けた先行投資等に必要な予算の確保(2兆円)

 ・保育士・幼稚園教諭、介護・障害福祉従事者等の処遇改善

 ・小中学校における給食費無償化の実現

 ・児童手当特例給付の所得制限の撤回・廃止

 ・消費者行政の強化(成年年齢引き下げを見据えた教育・広報、地方消費者行政交付金の増額、消費者取引被害対策予算の増額等)

 ・DV被害者支援、若年被害女性等支援事業の推進、性犯罪・性暴力被害対策の推進

 ・自殺対策の推進

 ・農業者戸別所得補償制度の復活・充実

 ・気候変動対策としての住宅の省エネ化の推進

 ・被災者生活再建支援金の引き上げ

 ・動物愛護管理の抜本的強化・推進

 2.歳出の減(合計4兆5224億円)

 ・新型コロナウイルス感染症対策予備費の減額(5兆円→1兆円)

 ・病床削減・病院統合に伴う財政支援

 ・マイナンバーカードの普及・利活用の促進

 ・マイナポイントによる消費活性化策の拡充

 ・普天間飛行場移設事業

 ・防衛装備品後年度負担の減額(2020年度3次補正計上相当額)

 ・イージス・システム搭載艦の検討に係る技術支援役務

 ・カジノ管理委員会運営費等の削除

 3.歳入の増(31兆4776億円)

 ・特例公債の追加

 4、その他

 ・財政投融資計画の追加(無利子無担保融資制度の延長・拡大のために)(13兆円)


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