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2021年3月2日(火)

主張

山田広報官の辞任

続投させた首相の責任免れぬ

 菅義偉首相の長男・菅正剛氏が勤める放送関連会社「東北新社」から高額接待を受けた山田真貴子内閣広報官が辞任しました。異常な接待は2月22日発表の総務省調査の過程で判明しました。山田氏は処分されず給与の一部を自主返納しただけだったこともあり、国民の批判と怒りが渦巻いていました。問題発覚後も「今後とも職務の中で頑張ってほしい」と山田氏を続投させた首相の責任が改めて問われます。総務省でまん延していた接待が行政をゆがめた疑惑の解明を終わらせてはなりません。

国会出席予定の朝に突然

 山田氏は1日の衆院予算委員会で答弁する予定でした。委員会開会の直前に体調不良による入院が明らかにされ、閣議で辞任が決定されました。あまりに突然です。

 東北新社問題では、利害関係者からの接待を禁じた国家公務員倫理規程違反で総務省幹部ら11人が懲戒処分されました。山田氏は総務審議官時代の2019年11月、正剛氏や東北新社社長ら5人から接待されました。倫理規程に反した行為だったのは明白です。国民が驚いたのは、一晩の飲食単価です。和牛ステーキや海鮮料理が提供され、1人あたり7万4000円超にのぼりました。他の総務省幹部の単価(最高は谷脇康彦総務審議官の4万7000円超)も決して少額ではありませんが、それと比べてもずば抜けた額です。

 国民の生活実態からかけ離れた飲食に批判が集まりましたが、菅政権は給与自主返納で済ませ、世論に完全に背を向けました。首相は「真摯(しんし)に反省している」「女性の広報官として期待しているので、そのまま専念してほしい」(2月24日)と擁護し、辞任を拒みました。

 首相が緊急事態宣言の一部解除についての記者会見を行わず、官邸ホールでの記者との一問一答のやりとりにとどめたこと(26日)も不信を増幅させました。山田広報官が司会する記者会見をやめたのは、接待問題で追及されるのを避けたい「山田氏隠し」の思惑だとの指摘が相次ぎました。コロナ対策の節目だというのに、国民に丁寧に語る機会を事実上放棄したことは、危機における国政トップとしての資格が疑われます。発覚から1週間、国民の声に逆らって、山田広報官続投に固執し続けた菅政権の姿勢は重大です。民意に耳を傾けようとしない菅政権の独善体質を浮き彫りにしています。

 菅首相が総務省の接待問題の解明に後ろ向きであることが大問題です。首相が正剛氏を総務相秘書官に起用したことが、接待問題の源流にあることは動かせない事実です。首相自身も政治献金を受けるなど、東北新社と「特別の関係」にあった疑いも濃厚です。首相は態度を改め、真相を明らかにするため役割を果たすべきです。

政官業癒着の闇解明せよ

 東北新社の接待攻勢が、衛星放送の周波数割り当てや、衛星利用料金の引き下げをめぐる政策決定の重要な時期だったことが、野党の国会質問で追及されています。国家公務員倫理規程違反にとどまらず、贈収賄事件としての可能性も浮上しています。吉川貴盛元農林水産相の汚職事件にからむ鶏卵生産会社アキタフーズからの農水省幹部接待も農水行政をゆがめた疑惑として深まりをみせています。政官業癒着の闇をあますところなく明らかにする時です。


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