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2021年3月1日(月)

「N高政治部」 志位委員長の特別講義(9)

一問一答とメッセージ

高校生と視聴者のみなさんへ

 特別講義の最後に、志位委員長は生徒からの自由な質問に答えました。一問一答を紹介します。

アメリカにはさまざまなゆがみとともに、民主主義の進歩的伝統も

写真

(写真)「民主的社会主義」を唱えるサンダース米上院議員の集会に参加した若者ら=2020年2月28日、サウスカロライナ州コロンビア

 生徒 今日の講演、すごく勉強になりました。さきほどから志位さんが言っている個性を重要視するとか多様性を重視する社会というのを探してみましたが、たとえば今、ユーチューバーなどは、個性が認められて職業としてお金を稼いでいると思います。そうしたものは全部アメリカ発で、アメリカが生み出した価値観だと思いますが、そう考えるとアメリカっていうのは何か共産主義化しているということになるのでしょうか。

 志位 ユーチューバーとは別の話ですが、アメリカではいまとても注目すべき動きが起こっています。

 それは、アメリカの若い世代、とくに20代から30代前半ぐらいの世代に世論調査をやり、「資本主義と社会主義のどちらがいいですか」と聞くと、「社会主義」の方が多いのです。いまのアメリカでは、格差と貧困がひどい。環境破壊の問題もあります。構造的な人種差別もあります。そういうなかで、より公正な社会をつくっていこう、格差拡大にも気候危機にも真剣に立ち向かわなければという流れが、若い人たちを中心に広がり、その人たちは「社会主義」を公然と主張しだしている。これは、たいへんに注目すべき動きではないかと感じています。

 アメリカという国は、私も何度か行って感じますが、たしかに資本主義の一番の大国で、資本主義のいろんなゆがみも、多くはアメリカ発なんです。格差拡大もそうだし、気候危機もそうです。それから、世界中にはりめぐらせた軍事同盟をテコに、世界を制覇していこうという帝国主義、覇権主義の震源地もアメリカです。

 同時に、人類で最初に民主共和制の国をつくったのはアメリカです。人権宣言を最初に発したのもアメリカです。人権、自由、民主主義の旗を世界で最初に打ち立てたのはアメリカなのです。奴隷解放という素晴らしいたたかいをやったのもアメリカです。ですから、いまもアメリカの民主主義の進歩的伝統というのはすごい力があると、私はアメリカに行くたびに思います。

 私たちは、アメリカとの関係は、日米安保条約を廃棄して、本当の対等・平等な関係にしたいというのが大目標なのですが、やはり対等・平等でこそ本当の友人になれると、私はいつも感じています。支配・従属のもとでは本当の友情は生まれません。本当に対等・平等な日米関係をつくってこそ、両国民の本当の友情も育っていくのではないでしょうか。

 アメリカには、悪いところとともに良いところもたくさんある。とても懐の深い国だと思います。良いところを学びながら、本当の友好関係を築いていきたいと願っています。

中国の経済分野での覇権主義にどう対応したらいいのか

 生徒 さきほど中国の脅威に関するお話がありましたが、軍事的な脅威以外にも近頃「静かな侵略」と呼ばれる、中国資本が他国の土地を大量に買収したり、メディアに圧力をかけたり、そういった問題も日本含め海外で問題視されていると思います。そういった問題にはどのように対処したらいいとお考えですか。

 志位 いま中国の覇権主義は、領土拡張という形だけではなくて、経済的にもいろいろな形で表れています。事実上、経済主権を奪ってしまうような形での国際的な関与もあります。途上国でいろいろな乱開発をやり、生態系を破壊するなども問題になっています。メディアへの圧力が外国メディアに及んでいることも看過できません。それらに対してはやはり、「国際的な民主主義のルールを守れ」ということを国際社会がきちんと言っていく必要があると思います。

 中国との向き合い方は、たいへんに大きな問題です。おそらく近い将来、経済力の規模では、中国はアメリカを追い抜くことになるでしょう。世界最大の「経済大国」になった時に、その国が覇権主義と人権侵害をふるっていたとしたら、世界にとってなかなか大変な問題となるでしょう。

 もちろん中国が、今後、どのような政治・社会体制を選んでいくのかというのは、中国の国民が決めていくことですが、同時に、国際的なルールにてらして、それを逸脱する行動に対しては、正面から理をつくして批判していくことが、とても大切です。

 その努力をやらないで、軍事で対応するのは、軍事対軍事の悪循環におちいり、私たちは反対です。外交の力で、理をつくして問題点をただす努力を、粘り強く続けることが何よりも大切だと思います。

 さきほども少しお話ししましたが、私が、中国と話し合った体験では、中国は理詰めの批判を気にします。「日本共産党の大会決議案から中国批判の部分を削ってくれ」というのは、批判が気になるから言うのです。中国は理詰めの批判を気にしているわけですから、気にしていることをきちんと言わなければいけません。そうして理性の力で間違いをただしていくことが大事です。そうしてこそ、日中両国、両国民の本当の友好関係をつくることができると、私は信じています。

 経済関係についていえば、中国との経済関係をなくすなどということは、世界のどの国もできません。これはかつての米ソ対立とは違います。かつての米ソ対立というのは、どちらかが倒れるまでたたかうという関係だったのですが、今の中国との関係は、どちらかがつぶれたらお互いに困ってしまうわけです。経済的には深い相互依存の関係になっているわけですから、そうした関係であることをよく考慮しながら、国際的なルールを守れということを求めていくことが大事ではないでしょうか。

「最大多数を幸せにした人が最も幸せな人」(若いマルクス)

 特別講義後に志位委員長は、司会の三浦瑠麗さんに促されて、高校生と視聴者に次のようなメッセージを語りました。

 志位 今日は、特別講義のなかで、何回か、マルクスの話をしました。マルクスが17歳の高校生の時に書いた論文が残っています。「職業の選択に関する一青年の考察」という論文で、これは、どう職業を選ぶかについて若いマルクスが考え抜いて書き記したものです。もちろん、この論文は、彼が科学的社会主義に到達するはるか前に書かれたものですが、私は、たいへんに好きで、今日も紹介させていただきたい。

 この論文のなかには、「最大多数の人を幸せにした人が最も幸せな人であり、そのなかでこそ本当の人格が完成する」という幸福観が書かれています。多くの人々の幸せのために、自分の人生を使う。それが最も幸せな人生であり、そのなかでこそ人格の完成もある。彼は、みなさんとだいたい同じ年代のたいへん若い時代に書いた論文のなかで、そうした決意を語っているのです。

 私は、マルクスは、高校生のときに書きつけたこの決意を、生涯にわたって貫いて頑張りぬき、偉大な業績を残した人だと思います。

 多くの人たちを幸せにする、そのことが一番幸せだというのは、立場の違いをこえて、一つの真実ではないかと思います。若いみなさんには、ぜひそういう人生を歩んでほしいと思います。

 他の人たちを幸せにするという場合、それは大勢ではなく、まずは一人からでもいいと思います。一人からでも他の人を幸せにすることで、自分の幸せをつかむ。そういう道を歩んでほしいと願わずにはいられません。(おわり)

75%が「とても良かった」「良かった」と感想

 特別講義の最後に多くの視聴者からアンケートへの回答が寄せられ、「とても良かった」が55・4%、「良かった」が20・3%にのぼりました。講義後に参加した高校生らから寄せられた感想を紹介します。

 ○私たちの質問にわかりやすく丁寧に答えてくださりうれしかったです。これからも共産党の主張や政策に注目していきたいと思います

 ○コロナ禍で資本主義が大きな岐路に立たされていることは事実です。日本を含め、お金をたくさん持っている人がカネ余りなどでさらにもうけた一方で、不安定な職に就かれている方や経済的に厳しい状況にある方などがさらに厳しくなっているということは紛れもない事実で、仕方ないで済ませてはならないと思っています。日本共産党の方々にはこうしたことについて、声をさらに大にして取り組んでいただけたらと思います

 ○共産党への理解が深まりました。志位さんご自身の優しいお人柄も好感をもてました

 ○ASEANのように、紛争問題を話し合いで解決できるようにしたいというお話が印象的でした。このような動きが、少しでも多くの国で行われることを願っています

 ○中国の脅威に対する志位さんの言葉の力強さに感激しました

 ○日本共産党というと少し怖いイメージがありましたが、今回の講義で少しだけ印象が変わりました。まだまだ、社会主義・共産主義には抵抗がありますが、今回は本当に良い機会だったと思います。少しずつ勉強を重ねて、政治について自分の頭で考えられるようになりたいと思います


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